ミニ交流会 in さいたま 2月21日

 昨年20名もの参加を得て大交流会となったさいたま集会は、今回は予想に反して9名。それでも交流できる内容は変わりありません。ゆっくり話すこともできて大変有意義な会となりました。

 参加生産者は、熊本県からみかんの中本弘昭さん夫妻、秋田県から有機米の高野健吉さん、宮城県から同じく有機米の佐藤長幸さん、山形県からは野菜の武田利夫さんの5名です。それぞれ自己紹介を兼ねて現在の農業の問題点を述べました。



〜合鴨無農薬米の高野健吉さん(秋田県大潟村)

 高野さん(写真右)からは、昭和35年に大潟村に入植し、当時5反歩農家が一般であった時代に一戸あたり15町歩という大規模な稲作経営に邁進したこと、有機農業に取り組む中で、昭和52年には全国に先駆けてヘリ防除を廃止させたことなどが語られました。

 長い農業人生の中で天災という試練に何度も見舞われ、時々刻々の気象の変化を常に観察し対処してきた高野さんですが、昨年の冷害ではこれまでの経験からは予測できない台風の塩害にあい、大減収に至ったことも語られました。


〜野菜の武田利夫さん(山形県高屋地区)〜

 武田利夫さんからは、15年ほど前まで5反歩余りで花を作っていたが、花の栽培には強い農薬を頻繁に使わなければならず、毎年の人間ドックで常に肝機能に要注意であったことに不安を感じ、花をやめ農薬を減らした野菜作りに転換したのがきっかけ。

 ある日、娘さんの野菜嫌いな友達が遊びに来られた時に、自分の野菜を出したそうです。これが、おいしく食べられたと聞いたときは、娘も私も喜び、「みなさんに喜ばれる、そして安心して食べられる野菜が基本だと痛感して日々取り組んでいます。」と語られました。


〜合鴨無農薬米 佐藤 長幸さん(宮城県)〜

 佐藤長幸さんからは、昨年の不出来へのお詫びと会員様への感謝の気持ちが述べられ、牛の人工授精師という仕事を通して知ることになった狂牛病の問題点、特にアメリカで未だに使われている牛のホルモン剤投与や畜産に於ける薬剤使用が極限にきていることなどが語られました。
 また、有機JAS認定への環境上での取得の難しさ、費用が高くかかること、近くで遺伝子組み換えの稲が奇妙な光景に見える話なども聞けました。


〜みかん、柑橘類の中本さんご夫婦(熊本県天水地区)〜

 中本弘昭さんからは、日頃のお礼と昨年の状況、そして、みかん栽培に木酢液がいかに安全に有効に使われているかを実践資料を基に詳しい報告がありました。

40年余りの農家の人生を振り返って

 奥さんの智子さんは40年余りの農業人生を振り返って、「化学肥料や農薬と縁の切れた今が一番幸せ」と語ります。

 「以前は『おしん』の様な生活でした。農薬まみれで働いて、みかんの値が良いと思うと次の年は暴落といった繰り返し。借金がいつまで経っても減らない、そんな日々でした。

 「劇薬使って体を台無しにした人もたくさんおりなさる。」智子さんが中本家に嫁いで来た昭和30年代は、戦後の復興期に入りみかんも高い値で飛ぶように売れたそうです。その頃みかん畑は3反から4反歩くらい、みかんが売れるということで一斉に山の開墾が始まり、智子さんも辛い嫁の仕事をこなしながら開墾に加わりました。その当時で1反歩4万円。木の根っこを掘り起こし、雑木を切り、耕し大変な作業でした。開墾が終わり、木が成りだした頃、今度は一斉に成り出したみかんで価格は下落し、その後昭和42年の大干ばつに見舞われました。そこから借金漬けの人生が始まったと智子さんは言います。

 借金で農薬や肥料を買い、それが返せなくて田畑、家も取り上げられた人が何人もいたそうです。農薬で体をこわした人もたくさん見てきました。人のことよりも「甘いみかん」、「傷のつかない艶のいいみかん」ができると、業者の言いなりに劇薬を使った人もいます。高い値でみかんは売れたけど、頭をやられて今は働くこともできないそうです。農薬は本当に恐ろしいと言います。

 娘の死をきっかけとして木酢液に出会い、こうして今では自分の身体にも安全なみかん作りができています。市場が安いときも高いときも一定した価格で購入していただき、会員の皆様には本当に感謝の一言に尽きる思いです。」と智子さん。
「うちが魚腸木酢液でこんなに効いたと知ると、業者は早速それを真似て魚のアラをサク酸と塩酸で溶かして安う売りなさる。業者が作った化学的なものは私たちが使っているものと比べて全然効果がないのに、一事が万事、儲け主義で業者の言いなりに農薬買わされているのが口惜しい。農家と知恵と農薬会社の考えの違いが続きました。

 昨年は雨不足でみかんが小さくジュース用にもならないといわれ、がっかりしていたところ全有連で『ちっちゃいみかん』という形で売ってもらい、産直のありがたさをしみじみ感じたそうです。
 今までの苦労してきた過去の思いも重なり、全有連との長い付き合い、会員様への強い感謝の気持ち、涙ぐみながらも心から言われていたことが印象的でした。


〜参加者のみなさまの声 ご参加ありがとうございました〜

 

全有連とは長いお付き合いですが、宅配をはじめた当時、こんな野菜を送ってくれる人、フォトニュースではクレームのハガキでも全部載せてしまう人、いったいどんな人なんだろうかと思いたち、山形に乗り込みました。山形はあいにくの雨。私はがっかりしていていたのですが、山形山で迎えてくれた米山さんが「ん〜、実にいい雨ですねえ。」の一言。実は、ちょうど種まきを終えたところだったそうです。あ、これが農業なんだ、自然と向き合うことなんだと痛感しました。この人たちなら信頼できると現在に至っています。(左・齋藤さん)

毎年、山形山の米づくりに参加してきたことで、田んぼの土のぬくもりや吹き渡る風の心地よさで自然や農業の大切さを感じました。大沼修代さんの作る郷土料理をいただいて、野菜ってこんなに美味しい「ご馳走」だったんだと目を見開かされました。食べ盛りの子供たちがいるので、送られてくる野菜が足りなくなるくらいです。(右・松田さん)

 

「野菜が送られてくると、それに合わせた献立を考え、調理しているので余り苦にはなりません。ただ、友人たちにもすすめましたが、やはり献立に合わせて買い物をしたい人や、一箱だけを見て高いと思う人などいて長続きはしません。」「持続してほしい農業のことや、半年、一年とトータルで届く食材の良さを分かって欲しいと思っています。」「お米が冷害で高くなり、味のことも言われましたが、とてもおいしくいただいていますし、いつも助けてもらっているので、高くなっても当たり前。逆に感謝したいくらいです。」息子さんからは、農業に興味を持ち、質問やアドバイスなどを受けていました。頼もしいですね、(左・玉木さんと息子さん)

最近はスーパーなどでも安全な野菜が出回っていますが、誰が選んだものなのか信頼関係はどう結ばれているのか、そこが大切だと思っています。写真や名前、表示があると安心なのかもしれませんが、全有連では、一回限りではなく、いつでも自分の知っている生産者がいろんな物を作ってくれてこちらに届く。これはうれしいですね。できれば生産地に行って交流できれば一番いいですね。(右・長倉さん)現地での交流会も実現します。

 

「もう15年近くも利用しています。野菜はとにかくドッと来るので慣れてはいますが大変です。」
「安心工房のお惣菜なども美味しくいただいているのですが、野菜を購入しているのに何でお惣菜が・・・と思うこともあります。」「不要にできることも知っていますが、忙しくしていると、ついそのままということが多いのです。」(左・岩木さん)サービス面での工夫が必要ですね。お惣菜は、喜ばれている方もいらっしゃいます。野菜のメニュー作りは本当に難しいのですが、年間で不要にできることで対応をお願いしました。

母が昨年1月、この集会に参加しましたが、その年の7月に亡くなりました。5年間の闘病でした。対話集会のことも、熱く私に報告してくれたのを覚えています。現在、3児の母ですが私が高校生の頃からの野菜とのお付き合いです。母は亡くなりましたがこうして私たちを健康に育ててくれた母への感謝と母の遺してくれた安全な食への心遣いを受け継ぎ、子育てをしていきたいと思っています。また、一昨年、山形山に家族でおじゃまをした東北旅行は、とてもよい思い出になっています。ありがとうございました。(右・木村さん)

 

妻を亡くし、私一人で利用していますが、受け取る側から言えば、ドサッと送られてくる。使いこなすのが大変というのが率直な感想。今あるタイプの名称や内容量の検討なども必要ではないか。デパートなどへ行くと簡単な料理法がついていて便利。もっと便利で使いやすく親切が希望ですね。
 また、山形山クラブのオーナーだったと思いますが、会の組織の構成や山形山クラブとか、オーナーとか分かりやすい説明が欲しいです。(左・倉元さん)

山形山の行事には年2回ほど参加しています。こうした交流会には、生産者の方々やスタッフの人たちにエールを送るつもりで参加しています。こうやって顔を合わせるだけでも信頼関係が結ばれるような気がします。これからもがんばってください。(右・大槻さん)


〜番 外 篇〜

白黒じゃない写真?

野菜に入れているの白黒印刷のフォトニュースでは伝え切れない農業の写真を、A3サイズ、カラーでプリントして参加者の方にお見せしました。実物ではないものの、その説得力は大きかったようで正解でした。

「ここに行ったことがあるんだよ〜。」と静心荘を見た木村さんのお子様たち。

柑橘類の手作り加工品

中本さんからたくさんの手作り加工品が試食に出されました。
お土産屋さんで売られているものは保存期間が長くなくてはダメなんです。本当の農家が作った素朴な味わい、安心な果実。お土産にもいただきみなさん大満足。

全有連でもレシピ案内や、販売もしています。

どっちが盛会?

対話集会、交流会の後は、みなさんとさらに親睦を深めるために懇親会を開きます。

お酒が入り、生産者と会員さんが、隣同士で語り合います。

お互いの想いが通じたころで終わりです。
 みなさんご参加ありがとうございました。


全国有機農法連絡会
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