庄内には白鳥が飛来
春から夏にかけてアイガモたちが活躍し、今は稲株を残すだけとなった八幡地区の池田清一さんの水田。日毎に寒くなり、鳥海山の頂が雪に染まる頃、北方から白鳥たちが渡ってきます。
「うん、ああやって白鳥が落ち穂拾ってるんだ」という池田さんの言葉に促されて田んぼを見ると、一群の白鳥たちが思い思いについばんでいる様子が遠目にうかがえます。
白鳥は冬の使者。彼らの飛来は冬の到来を物語り、人々は季節の巡りを実感します。
「さて・・・白鳥が落ち穂拾って飛んでいったら、トラクターかけるか」来年の雑草対策のための秋耕起は、白鳥が落ち穂を拾ってからにしています。
「庄内の風は強いし冷たいけども、雪降るまでにはまだしばらくある」白鳥たちと共に田んぼも越冬の準備に入ります。
転作大豆、今年は凶作
全有連配送センターから2Hほどの所に、集団転作による広大な大豆畑があります。集団転作とは、本来個々に割り当てられる減反面積を集落・集団単位で集約し、割当面積を一箇所に集中させ、転作作物を作付ける手法です。栽培管理・収穫作業の効率化を図ることができます。
かつては水田だったその土地が、今では見渡す限りの大豆畑になっています。
しかし今年の大豆の出来には、農家が一様に肩を落としています。無農薬大豆を作っているとんとんクラブの梅津善助さん。
「今年は夏が暑すぎた。サヤに豆がほとんど入ってない状態で、粒もいつもより小さいもの」
山形山の大豆も例外なく実入りが悪い結果 となっています。
稲作農家にとっては、減反で収入減の上、転作の大豆も凶作というダブルパンチです。
12月2日、木酢液勉強会を予定
雪深い山形では、稲作農家にとっての冬は充電の時期でもあります。といっても、ビニールハウスでの野菜の通年栽培を行っている農家がほとんどなので、忙しさは一年中です。
よほどの大規模農家でないと、稲作だけでは食べていけないことを実感します。米価は年々下がっているし、高価な大型機械がないと仕事にならないし・・・というのが現実。ましてや手間のかかる有機農業にとって、大規模化は不可能に近いほど困難なもの。買い支えてくださる消費者の皆さんの後ろ盾なくしては成り立ちません。
支援してくださる皆さんに、安全な農作物を、美味しい米をと、全有連農家は日々の実践と勉強を繰り返しています。
そしてこれから迎える冬期間は、春夏秋以上に勉強会・研修会・講習会を全有連では企画しており、新しい知識を蓄える時期と捉えています。その皮切りが、12月2日の木酢液勉強会です。講師は、木酢液研究の第一人者である三枝敏郎氏(農学博士)。日本木酢液研究会の副会長を長く務め、このほど新たに(日本炭窯木酢液協会)を立ち上げました。全有連の顧問も務めていただいており、木酢液についての最新データや、効果的な使用法などを教示してくださっています。
参加対象は稲作農家をはじめ、野菜・果樹すべての農家です。今年も、得るものの大きい勉強会となるでしょう。そして雪解けの春、各々が蓄えた知識が各圃場で実践されるのです。
水田の休養
すっかり晩秋の景色となった水田の片隅に並ぶ大きな白い包み。中には細かく裁断されたワラがぎっしりを詰め込まれています。春になると、野菜畑あるいは果樹畑へと運び出され、雑草抑制の被覆にすきこんで土壌改良にと様々な効果を期して利用されます。冬直前。農家が畑仕事に勤しむ中、水田はゆっくりと休養をとっています。