有機米づくりニュース ひびき 120号
全有連 有機米を食べる会の通信「ひびき」
米作りの現場からの、生産者の様子を細かにお伝えしています。
編集・発行 有機米を食べる会
ひびき No.120(02/01/29)号
自然の生態系にならって営まれるのが有機農業。その圃場、特に水田には実に多くの生き物たちの姿が見えます。それはきっと、命を育む「水」がいつもふんだんにあるからでしょう。

 山形県にしかいないヨーロッパカブトエビ

村山地区の生産者石川寛一さんが、数年前から気づいていることがあります。
それは、水田にカブトエビが最近増えてきたこと。理由ははっきりしていませんが、カブトエビのエサ=有機物が増えてきたことが考えられます。

 「田植えが終わって、雑草が生えてくる頃、田の水がいつも濁ってるんだな。
  何でだべ?と思ってよく見てみると、カブトエビが泳ぎ回ってるんだな」

カブトエビはそのたくさんの足で土をかき混ぜ、有機物や草の芽、ミジンコなどを食べます。
その動きが水を濁らせ、雑草の発芽を抑える効果につながっています。

 米ヌカ効果

 イトミミズ、クモ、タニシ、トンボ、バッタ、カエル(オタマジャクシ)などなど、田んぼに棲息するたくさんの生き物。彼らの生態系はとてもデリケートなものです。ほんの少しの農薬の飛散があってもおそらく、取り返しのつかないような狂いを生じてしまうことでしょう。そのような田んぼの生態系をいかに維持するかが、まさに有機農業と言えると思います。

 このように考えるとき、全有連の生産者が行っている米ヌカ散布の効果に注目せずにはいられません。養分組成が優れている米ヌカ。水田からの産物を、再び水田へと還元するこの作業が、実は水田の生態系の基礎を作っているのではないかと思うからです。

 米自体の養分となることはもちろんのこと、米ヌカを養分として繁茂する藻類あるいは米ヌカそのものを、低次の生物が食べ、更にその生物を高次の生物が食べるという連鎖を形作っています。

 日本中の全ての水田が、化学合成の肥料や農薬の散布をやめ、米ヌカをはじめとする有機物を施すようになれば、水田の豊かな生態系はきっと、水田の中だけにとどまらずより広く自然界へと、良い影響を与えるものと思うのですが・・・。

 大雪の中、春を想う

20年ぶりといわれる大雪に見舞われている山形です。
平地はともかく、山間地の水田に厚く積もった雪は、田植えの頃までに無事にとけてくれるのだろうか?という思いが募ります。でもこの大雪は、春の清涼でしかも豊富な水を約束してくれるものでもあります。とくに、山に降り積もった雪は、ゆっくりと解けだし、少しずつ水を補給してくれる自然界の巨大なダムとなります。

 「この辺はいつも雪が多いけども、
  田植えがことさら遅れるほど雪解けが遅れるということはないんだ。
  今年はホントに大雪だけども、大丈夫だと思うんだ。
  まぁ、春が近くなってみないとわかんないけどな」(村山地区 石川さん)

 「新庄も毎年、雪は自慢できるほど多いからな。
  今は春一番に田にまく堆肥の切り返しをしています。
  切り返しの回数が多ければ多いほど、いい堆肥になるから」(新庄地区 相沢さん)

真っ白な雪原の中で、切り返すごとにもうもうと湯気をあげる堆肥。最高気温が氷点下という中でも、良好に発酵が進んでいるのが分かります。この堆肥が、今年の米を作ります。

 「冬は田んぼの充電期間。2m近くも積もった雪の下では今頃ツブ(タニシ)が越冬してるべな。
  私らもツブと一緒に、土に会える春を待っているんです。」 

ひびきの掲載は終了しました


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