第一回畑の交流会 7月17日〜18日

畑の交流会 7月17日〜18日 

 生産者連合での積み立て金を使って消費者の会員さんを山形に招こう!そう生産者の発案で企画された初の畑での交流会。あいにく連日の大雨が続く中、当日を迎えました。

 止みそうもない雨に、急きょハウス栽培に限定した視察となりました。集合時間は午後2時40分、場所は山形駅です。早々と到着していた清瀬市の袴田さんご夫妻と代表米山、佐藤、大内会長と到着を待ちました。

 横浜の鳩の森保育園の保育士さんが研修を兼ねての参加と、この他埼玉、東京と列車で到着された方々が無事集合し、園地へと出発しました。強く降っていた雨も、車で15分の大内さんの園地に着く頃には小降りとなりました。



一日目 畑の視察1 〜山形地区 大内一男さん〜

土をよくする、作物をおいしくする 資材にこだわる

山形市の市街地にある大内さんの畑は、急速に進んだ開発によって周りをショッピングセンターや住宅に囲まれています。年々狭められていく農地のその中で完熟堆肥を作り、昔ながらの農業をする大内さんの畑は農家の心意気にあふれていました。

 ハウスの中のきゅうりは終わりを迎えそろそろ病気が出始めていました。
大内さんは、ダニがついて変色した葉を見せながら「化学肥料で作っている人たちは、ダニも農薬できれいに落とし、あと2段くらい高く伸ばして収量も倍にできるんです。」と、経済のことだけ考えたらできない有機農業について語りました。

大内さんの農業資材の紹介

 木酢液は土壌消毒、防虫に有効。エキ炭エキスは旨味を増す。

 ホタテパワー貝殻粉。病気になりにくい強い作物を作る。

 有機資材を扱う大内さんの表情は優しい。


一日目 畑の視察2 〜天童地区 五十嵐 芳恭さん〜

僕のホワイトハウスは快適です 

次に向かったのは天童市の五十嵐芳恭さんのハウス。ハウスは白い被覆剤で覆われています。
有害な紫外線をカットし有効な太陽光は吸収する資材です。
一昨年、熱暑が続いてトマトが陽やけして大損害を出したときの教訓が活かされていました。

「自分はホワイトハウスって呼んでいるんだけど、ハウス全体にこれをスプレーしたおかげで去年も今年も陽やけが防げたし、甘みも増した。あと、自分のところではマルハナ蜂を飼っているんですが、自然受粉したものはトマトの重みが違うんですね。トマトの細胞が密になっているんですよ。」

「このトマトも、終わりかけていますが、本当ならば、化学肥料をひとふりすれば、収量は倍になるんです。目先のお金で動いていると自滅してしまう。」「完全無農薬を目指していますが、天候の影響で、病気、害虫の大量発生。どうしても必要なときに使わなくてはなりません。家族を守るために、やむを得ず使用することがあります。」と熱い思いと一緒に有機農業の難しさを話されました。


完熟トマト
「見て下さい、この青いトマトと赤いトマト、
農協や市場出荷はこの青もぎです。青いうちに収穫すれば、まだまだ実はなるんです。でも、会員さんにおいしいものを食べてもらいたい。この赤いものは木で完熟したものです。
中身の栄養価もおいしさも違うはずです。実物を見せられての説明に一同納得。五十嵐さんの農業に賭ける熱意にもふれることができました。


一日目 〜おもてなしのお膳立ては、生産者の奥さん方〜

郷土料理に参加者みんなが舌鼓。

 いつもは会議に出ることもなく、ひたすら夫と農業に励む奥さん方が今回は料理担当をし、懇親会にも参加しました。写真左から天童地区 五十嵐さん、奥山さん。この他、高屋地区 武田さん、田井地区 高橋さん
 持ち寄られたものは、いんげんの煮物 きゅうりの1本漬け 揚げなすのくるみ和え 旬の野菜の天ぷら等々盛りだくさん。


 準備も片付けもみんなでやれば早い早い。
 
 配膳、片付けには、みなさん、いつも手伝ってくれます。

 ありがとうございました。


一日目 夜 〜懇親会、生産者、参加者勢揃い〜

五十嵐さんの完熟トマトを使ったトマトジュースで乾杯!

 消費者会員、生産者会員、スタッフを交えて懇親会がスタート。おいしい食事、作った生産者が目の前にいての懇親会は、自然に会話がはずみます。
 自己紹介では、生産者からはお届けしている作物を、消費者会員からは入会したきっかけ、生産者への想いなどが語られ、保育士さんたちの踊り、地元ならではの最上舟唄などが飛び出るなど、おおいに盛り上がりました。


 初参加、保育士さんたちの『ロックソーラン節』

 前回のイベント参加で農業と食育は密接に関わっている、
 と痛感させられたという鳩の森愛の詩 あすなろ保育園
 会員でもある園長の瀬沼さんの方針で、4名の保育士
 さんと1名の栄養士さんの参加が決まりました。
 目を輝かせて生産者の話を聞き、園に持ち帰り園児たちに
 も教えたいと語ってくれました。


二日目 朝 〜朝から元気に山の散策〜

ご飯おかわり!の声が続出。

前日は夜更けまで語り合ったのですが、山の朝は目覚めがとってもいいんです。
 朝の空気とともに、ゆっくりされる方、山形山農場でにんにくやじゃがいもの収穫をしました。
ポニーの「サイハン」も愛嬌を振りまきます。
 そして迎える朝食は、日頃の朝食とは違い、ご飯おかわり!の声が続出。
山形山は本当にいいところ、遠足前のドキドキは、前日で終わってしまうけど、ここに来てからずっとドキドキ・ワクワク感が納まらないと、うれしい話も飛び出しました。


二日目 〜食育、環境、産直、語り合った その1〜

テーマは『食と農を語る』

 2日目の18日は朝食後から午後1時まで「みんなで語り合う」形で勉強会が開かれました。

 テーマは『食と農』。私たちが直面している有機農業の抱える様々な問題や、飽食といわれる日本での貧しい食のあり方などをテーマに報告し、語り合うという試みでした。

 先ず、園地視察の感想から始まり、前日の視察地になった大内一男さんから補足説明と有機農業の実態の訴えがあり、五十嵐芳恭さんからは、畑の交流会実施に至った経緯と今後の抱負が語られました。

 その中で、実直に安心安全な農業を20年近く行ってきた大内さんの口から有機農業をしていく上でのコストの問題などが具体的に述べられ、これは後半のテーマでも秋田県大潟村の有機農業者 高野健吉さんから、世界的に有機資材が枯渇しつつあり、年々資材費が高騰しているという報告があり、合わせて有機農業の先行きに不安のよぎる問題提起となりました。

   

・きっかけは妻の病気でした。それ以来家族7名、みな健康で過ごしていますと大内さん。
・大潟村では20年前、農薬の空中散布を止めさせた。今は農業問題は環境問題だと語る高野健吉さん。
・日本の有機農業は世界の先進国でも最低の0.09 %です。何ででしょうと米山 正。


二日目 〜食育、環境、産直、語り合った その2〜

農業を尊敬する国には未来がある、語り合った二日間  

続いてテーマ別のパネルディスカッションに移り、代表米山正から今一番私たちが考えていかなければいけない食育をテーマに現状と問題点が報告されました。

特に子供たちの教育の中でもこれまで取り上げられることの少なかった食の教育の重要性がようやく認められ、知、徳、体に食が加わったこと、公教育の四本柱になったことなどが報告され、ますます農業と食との関連を緊密にしていこうと語りました。

生産者からは、有機農業をはじめたきっかけとして、身体を壊した話、身内を亡くした話など、一昔前の農業の恐ろしさを、そして、肉を食べる機会などは一か月に数度程度だったことなど、食生活の変わりようが言われました。最近は地方でもたくさんコンビニができたことで、子供がお菓子などに走ってしまうと呟かれていました。

  

・妻のみち子さんが産直を初めてもう17年余り。弱かった自分も丈夫になりました。
と語る袴田さん。関連した問題ということで、清瀬市の袴田さんから自治体の委託を受けて市民大学のカリキュラムづくりをしているが農地を抱えた都市では、休耕地の増大が問題であり、それを解決していく1つとして市民が農業を学んで遊休地を利用して市民農園を活発化させることなどが報告されました。自治体で市民農園を募集すると一区画に200人も300人もの応募があり、どうしても農業したい人は1時間余りかけて空いている農園に通っていることなども語られ、人々が「自然や農業に大きな期待を抱いている」ことなども語られました。

  

・農業を継いだときには、田舎なのに、消毒液、農薬とひどすぎる環境に有機農業にチャレンジ。
 有機農業に転換して数年、全滅も経験したので親が心配して農薬使えとしつこく言われている。
 それでも「有機農業はエキサイティング」と語る大江町の五十嵐さん。

・昨日、最上舟唄を熱唱した安孫子さん、家畜と果樹、野菜と複合農家の小山田さん、
 かやぶき屋根の家に住んでいるが、アトピーやシックハウスには無縁。
 「人間土から離れてはダメだ」と高橋さん。

  

 ・もっともっと環境のこと、農業のことを知りたい。情報をどんどん伝えて欲しい、
  と東京の青島さんは、当会が宅配をはじめたときからの長いお付き合い。手間をかけ、
  いつくしみながら育まれている野菜を実感しています。
  親の気持ちを子供に伝えることの難しさ、安心な食を守れない社会を痛感しているそうです。

 ・胚芽米で麦ご飯を出していると授業参観で評判になり、ママたちにも広まったことや
  食と農の関わりを学ぼうと参加された保育士さんたちの日々の実践の様子も聞けました。

  

 ・教育の現場で再び子供たちの教育に当たっておられる赤堀嘉範さん。
  今、目指しているのは食育です。
  有機のお米に惚れ込んでいるので、子供たちにも炊いて食べさせ、お米の味に感動したところで
  食育授業が始まる。と語る赤堀さん。最後にキラリと光る言葉を頂戴しました。

 「子供を尊敬する親は幸せと至福感がある、子供を尊敬する教師は充実感がある、
  子供を尊敬する国は未来がある」この『子供』を農業に置き換えて下さい、と。

語り合うには少々時間が足りなかった感もありましたが、第1回の試みは様々な課題を積み上げつつ、先ずは盛会に終わりました。生産地にいると、ともすれば生産現場の苦労に耳を傾けがちになる私達に先進的な考えを持っておられる会員の方々からたくさんのことを教えていただきました。


二日目 〜全有連、安心工房の視察〜

休日だったため、野菜の梱包などは見られませんでしたが、安心工房の調理施設、精米所、米の倉庫などを視察して全行程終了。一部の方は、宮城県の佐藤さんの田んぼを視察に行かれました。

みなさん、時間に終われる厳しい日程でしたが、本当にありがとうございました。
また、来年も予定していますので、どうぞご案内をお待ちください。

ホーテロ村の静心荘はいつでも来村可能です。これからの夏休み、是非お越しください。


全国有機農法連絡会
〒994-0071 山形県天童市矢野目2442
TEL 023-654-2799 FAX 023-654-6115

 
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