芋がら通販  山形の芋がらについて

納豆汁に芋がら
天日干し 山形の芋がらの製造販売
下ごしらえした芋がら芋がらの煮物



山形の内陸で昔から食べられてきた

懐かしい手作りの芋がら

・もう味わえないと思っていた昔ながらの芋がらが手に入りとても満足です。
・我が家でスローフード体験。子供と一緒に納豆汁をたっぷり堪能しました。

とご感想をいただくように、山形では納豆汁の具として欠かせません。その味は、さまざまで、国産とはいえ、里芋の種類、作柄、栽培方法、乾燥方法によっても味わいが異なります。

 日本海側の庄内地方では、芋がらをとるための「からとり芋」(赤茎・青茎)は、食べやすくクセのない芋がら。赤茎は、干さずに色を活かして酢の物にもなります。北の最上地方では、伝承野菜にも認定されている「からどり芋」(赤茎)があり、やわらかく、ふっくらしているのが特長(これは作り手にもよる)。そして最後に内陸部村山地方では、食用の里芋の茎を干したものがあります。ジョグジョグとした食感が一番楽しめて、滋味も強く感じます(現在は、作り手がほとんどおらず比較はできませんが、里芋が生産者ごとに味が違うように、当会の芋がらに限定されるかもしれません)。

 

 お届けは、12月の中旬以降となります。ご予約は10月より。
芋がらの販売

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芋がらとは

 山形では、里芋の茎を干したものを「芋がら(いもがら)」と呼びます(西日本などでは干しずいきや割り菜など)。お湯で戻してから、煮物や炒め物などに利用される「ジョグジョグ」とした食感の食材です。
 原料となるのは、庄内や最上地方ではからとり芋やずいき芋(芋がら向きの品種)の茎で芋がらを作られていて、アクが弱く、ずいきとして生のまま酢の物などにして食べることもあります。私どもは、江戸時代から受け継がれてきた食用の里芋「小姫」の茎を干しています。
 里芋は、全国(アジア)で栽培され、同時に芋がらも作らてきましたが、雪国に暮らすものにとっては冬の間の貴重な食糧となり、最適化した料理が生まれ、今でも郷土料理として芋がらが親しまれています。


芋がらの作り方

 1. 里芋の茎から葉を落とし、塩を擦り込み2〜3日。

 2. 茎が"しんなり"としたら、皮を剥きます
 (茎の外皮をつまんで下に向かってすうっと剥く。ふきのスジ取りの要領)

 3. 2本一組にして先端を縛り、軒下に吊るし干しておくだけ。
 (カビなどが心配な場合は焼酎など霧吹き・扇風機をかけるとよい)

 4. 1〜 2カ月ほどで干しあがります。


簡単そうなのでやってみるものの、これがなかなかうまくいかないし、結構な手間がかかる。それを見て笑う武田さん。「みんなもうつぐってない、うちとあと一軒くらいだぁ」といいます。「昔ながらの保存食」などと賛美するだけなら簡単ですが、自家用以上の量を作ってくれる作り手の存在のありがたさを実感するときです。近くに里芋農家さんがいたら、収穫中に声をかければ茎はもらえるはず。お試しください。

※里芋の収穫が早く、完熟していない茎を使うと喉にいがいがを感じるものになることがあるようです。
 山形では一度霜があたった時期に収穫する里芋の茎を使っています。

山形内陸部で芋がらといえば納豆汁

 この芋がらは、長い冬の間の食糧として重宝してきたもので、味噌汁、芋煮、炒り煮、煮物など万能ですが、一番は、山形の冬のご馳走「納豆汁」に欠かせない具として食されてきました。山形では、この納豆汁を「七草粥」として食べる風習もあります。
 その他、全国の郷土料理として、宮城ではお雑煮に、福島では人参や油揚げなどと煮物にして食されています。滋賀、岐阜県や愛知県ではずいきの煮しめや煮物、京都大江町、和歌山、徳島、高知などで割り菜の煮付け、白和え、韓国や中国ではスープなど食感を活かした料理があります。

この昔ながらの芋がらは希少品

 芋がらづくりは、手間がかかることから作り手が減少し、今では超希少品。昔ながらの手作りの「芋がら」が食べたいという全国のみなさまの声を受けて、雪国のおばあちゃん武田さんと高橋さんが、昔となにもかわらない手作り・天日干しを守り続けてくれています

あらたに里芋農家さんに芋がら作りをお願いしても首を縦に振る人は皆無。自分で作ってみようと試してみましたがこれがなかなか難しく、爪は真っ黒、捗らない。自家用での30本、40本ならまだしも、ある程度の数を作るには、作ることが当たり前だった人でなければ難しいと実感。これが伝統保存食の現実。

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芋がらの食べ方

 この昔ながらの製法で作る昔と変わらない味の乾物「芋がら」は、昔食べた味を思い出して食べたくなった(食べさせてあげたい)、郷土料理を楽しみたいという方たちに大変喜ばれております。栄誉成分として、カルシウム、カリウム、鉄分、食物繊維を多く含み、漢方では「古血(ふるち)」「?血(おけつ)」を流すとして産前産後の健康滋養食としても見直されています。

 じゃがいもと芋がらの味噌汁、納豆汁、炒り煮、煮物など
 戻してから野菜などと同じように茹でたり、炒めたり、酢の物に。
 どうぞ、心温まる料理をご家庭でお楽しみください。


武田さんの手作り「芋がら」の通販

このいもがらの原料の里芋は、庄内や最上地方のような「からどりいも」ではなく、「小姫」という里芋の茎。この味じゃないと、とご好評いただいております。

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お届け期間:12月中旬〜


最上伝承野菜に認定された
 からどり芋(無農薬)で作った芋がらもございます

からどりいもの芋がらを戻した状態。
こちらは湯でこぼさなくても料理に使えます。
余った芋がらをペペロンチーノに。
簡単でおいしい。
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芋がらの食べ方(戻し方・納豆汁のレシピ)

芋がらの戻し方 その1(下ごしらえ)

  1. 芋がらの両端は適当に切り落とす。
  2. よく洗ってから、ぬるま湯に1時間ほど漬ける。
    戻す時間には好みがあります。一晩水に漬ける方法ならシャキシャキ感が強い。
  3. お湯の中でよく揉んでから取り出し、水洗いする。
  4. それを一度茹でこぼす(塩ひとつまみ)。
  5. 芋殻を軽く絞ってアクや喉に刺激がないか少量を味見する。
    アクを感じる(個人差)なら酢を数滴入れて再度茹でこぼす。
  6. 好みのサイズに切って利用します。
    ※自然乾燥のため、黒く変色している部分や気になる部分は取り除きます。
  7.  芋がらの分量:1人分10g程度(現物を計量したところ1本で8〜10g程度)。
     ※芋がらの一般的な戻し率は7倍。乾燥5gを戻すと35gになる。
     
芋がらの戻し方 芋がらの戻し方2
全有連の芋がら(武田さん) ぬるま湯につけて一時間。ボールなどで。
芋がらの戻し方3 芋がらの戻し方4
一度湯でこぼします。 好みのサイズ3-5cmに切り分けます。
芋がらの戻し方 芋がらの戻し方6
油揚げと煮物に。
だし汁、日本酒、みりん、醤油。薄味で。
ふっくらと炊きあがりました。
煮汁を含んだ芋がらは食感もいい。


芋がらの戻し方 その2 

芋がらを、水で一晩かけて戻すと、しゃきしゃき感が少し強く残ります。
乾燥芋がら ぬるま湯でもみ洗い 水に漬ける
水を取り替える 翌朝ふっくら 湯でこぼして酢醤油で

芋がらQ&A 喉がヒリヒリ?原因は?大丈夫?

 芋がらを下ごしらえせずにそのまま鍋に入れて作ると、喉がヒリヒリすることがあるようです。これは、「シュウ酸カルシウム」という小さな小さな針状結晶が喉に刺さることが理由のようです。長芋や里芋の皮を剥く時に手が痒くなることと同じ現象です。

 ※収穫時期が早く、まだ若い茎を使って芋がらを作ることが原因とも云われています。

こんなことが起きないように・・・芋がらの下ごしらえ(塩をひとつまみ入れて湯でこぼす)をしたあとに「ほんの少量をよく噛んで、さらに飲み込んで、1分ほどして大丈夫だったら」料理を作ること。

※ちなみに武田さんの芋がら葉、稲刈りが終わったあとに収穫をしています。を毎年、下ごしらえをせずに、戻してそのまま調理していますが、ヒリヒリはしたことは一度もありません(同じものを食べても個人差があり、戻して生のまま食べてみるとヒリヒリすることはあります)。

納豆汁の作り方(芋がら入り雪国山形風)

 芋がら、納豆、なめこ、ネギ、、、そのときにあったもので作った納豆汁。納豆の香りと味が染み込みとろりとした味噌味にコリッとした芋がら。じんわりと温まり、あーぁ、おいしいぃねぇ。山形の納豆汁には芋がらが欠かせません。

<納豆汁の材料>

 納豆、芋がら、なめこ、油揚げ、豆腐、長ネギ。
 薬味に、ネギ、七味、セリなどを入れて仕上げます。
 これに、こんにゃく、里芋、とり肉などを加えれば、ボリュームアップ。

 ※上記の場合は具沢山のため、芋がらの分量は4人分で20g(乾燥)。一人分は5gで十分。
 ※芋がら中心の味噌汁なら、1人分10gに(現物を計量したところ1本で8〜10g)。
 ※芋がらの一般的な戻し率は7倍。乾燥5gを戻すと35gになる。
 ※販売されているのは、20g入りや50g入りのもの。

<山形の七草粥の場合の材料>

 雪国の山形の1月7日。七草粥の日にあの春の食材たちは雪の下。
 山形の中央、村山地方では、この時期に楽しむ納豆汁仕立てで七草がゆを作ります。
 人参、ごぼう、セリ、芋がら、こんにゃく、豆腐、油揚げの七種。

<納豆汁の作り方>


郷土料理本「あがらっしゃれ真室川」(発行:真室川町)より

  1. 納豆をすり潰す。
    納豆をすり鉢に入れ、すり鉢をしっかり押さえて
    擦りこぎ棒で豆の形がなくなるくらいにつぶします。
    ※挽き方は好み。納豆はひきわりや納豆汁専用では風味が一段弱い。

  2. 芋がらを先に煮て、その後、お好みの具材を入れて煮る。

  3. 味噌と納豆を合わせてそこに煮汁を少し混ぜて溶かしておく。

  4. 火をとめてから少しおいて味噌と納豆を入れる。

  5. お椀に入れたら、刻んだ薬味(小ネギ、セリ、七味唐辛子など)をかけてできあがり。


    <ポイント> 鰹や昆布などの出汁は不要。まずはこの味をおすすめします。
    体にやさしく野菜の甘みと納豆の味が素直に感じれとれて美味。じんわりと体が温まります。

納豆はこの程度すりつぶせば上々。ここに味噌を合わせてスープを入れ溶かし、味をみながら鍋に入れる。 ここに味噌と納豆を入れ、お椀に取り分け、薬味に小ネギかセリ、それに七味唐辛子を入れていただきます。



山形の芋がら・納豆汁のはなし

七草がゆは納豆汁で

「さむくなっとすんだぁ、昔はなんもながったから、これいれて、納豆いれて、、、あ〜、んまいのよ」と寒河江の武田さん。冬の季語にもなっている「納豆汁」。山形ではこれに欠かせないのが「芋がら」。芋がらとは里芋の茎を干したもの。

 雪がしんしんと降り積もるなか、食卓には納豆と味噌の香りがたつアツアツの鍋がどんと鎮座します。それを椀に盛り、七味を一振りし、ふーっとしてから汁を啜る。じんわりと体があたたまり、まさに"んまい"。県外出身の私にでさえ、ジョグッとした食感の芋がら入りの納豆汁が "冬に味わいたいもの"として擦り込まれていくのです。

 雪国山形では1月7日の七草粥の日には、納豆汁を食べる風習があります。七草は雪の下。そのかわりに、人参、ごぼう、セリ、芋がら、こんにゃく、豆腐、油揚げの七つで代用。具沢山で味噌仕立てです。

  "昔はなんもながった"から、と武田さんは笑っていましたが、納豆汁は、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、健康増進につながる機能性栄養成分の塊。実はすごい栄養食だったのです。

 長い冬に耐える保存食をいくつも組み合わせて完成した納豆汁。先人たちの生きる感性に驚きます。だから、毎年我が家の七草粥の日は、無病息災を願って「納豆汁」なのです。

なぜ山形の納豆汁には芋がらが使われているのか?その理由は?

納豆汁は古くから全国で作られてきた味噌汁です。芋がらが入るレシピは山形近隣のみ。芋がらの栽培は古くから全国各地で行っており、芋がらも同様に古くから作られてきました。以下のように納豆汁=芋がらではないようです。

江戸時代の納豆汁:味噌をこくしてだしくはへよし。くき たうふ いかにもこまかにきりてよし。小鳥をたゝき入吉。くきはよくあらひ出しさまに入。納豆はだしにてよくすりのべよし。すい口からし。柚。にんにく。(1643年『料理物語』より ※くきは小松菜)

→昔から山形では里芋が作られていた。雪国なので冬の間の食料が貴重。保存食である芋がらを重宝していた。よって冬は味噌汁など汁物などの具材としてよく食していた。

→芋がらは納豆汁に欠かせないのではなく、山形の冬の汁物の具材といえば、芋がらが当たり前だったからではないでしょうか。

→では、ほかの雪国はどうなのか?東北各地でも芋がらを作っているようですが、秋田を除き、納豆汁+芋がらという形では見えてきません。おいおいひとづたいに情報収集(福島→宮城→岩手→青森、長野、岐阜など)をしてみます。もしご存知の方は情報をお寄せください。

※七草粥には人参ごぼうが使われますが、本来ならは昔から栽培され雪下で貯槽された大根や白菜、じゃがいもも入ることが考えられます、、、これは今後の検証課題です。

納豆汁にセリが入る理由は?
納豆の香りを抑えるには抜群のせり。そもそも冬でも川の近くでとれていたもので、冬の間の緑のものが入手できるのはセリくらいだったようです。彩りと香りの面から大変重宝していたようです。戦後には、山形市で堀込セリが栽培されてセリの産地でもあったことも定着理由かもしれません。

納豆の味(国分一太郎 いなかのうまいもの)

 納豆汁、ケンチン汁、シナガワ汁、ナットウ汁。これが死んだ祖母や母が、私たちに残してくれたいなか汁の味である。 そのなかで私は納豆汁をいちばんこのむ。

 毎年寒い夜のころになると、ときどきつくる。自分でつくる。忘年会の流れ仲間がたちよるとわかっているときには、妻に材料集めをさせておいて、手作りのやつを、じまんしながら、ごちそうしてやる。さいの目に小さくきったごぼう、だいこん、かぶ、にんじん、こんにゃく、とうふなどぉ、カツオブシのだし汁でにる。アブラゲもいれたら良い。醤油でほどよく味付けをする。

 一方で、すり鉢に入れた納豆の粒つぶをおしてつぶし、それに酒を注いで、ねばねばするのを、すりこぎでよくすりあわせる。食べる直前に、さっきの汁をあつくあつくにえたて、納豆のほうをその中へぶちこむ。やがてあわだつようになる。椀にもる前、こまかくきざんだセリをふりかける。ネギのみじんぎりでもよい。

 べつにめずらしいものではないのかもしれないが、いろりばたを思わせるようないなかくさいその味。それがやっぱりすきなのである。

 ただこのごろ、それに入れるとなおよいサトイモのズイキが、東京ではなかなかみつからなくなったことが、どうも残念しごくなのである。ところによってはミソを使うばあいもある。

納豆汁(味旬 斎藤仁)

 納豆汁に旬があるのかと無粋なことを聞きたもうな。そもそも納豆汁とは東北、北陸などの庶民の冬のぜいたくなおみそ汁なのである。夏の暑いさかりに納豆汁は食べられない。雪がチラついて来ないと本場の味がしない。

 納豆汁の具は、豆腐賽の目、同じコンニャク、干したズイキ、油揚げ、ネギ、セリなどのみそ汁に納豆をすりばちですりつぶしたものをドロドロにして流し込んだだけのもの。ワラビやナメコ、雑キノコなどの塩蔵ものを塩を抜いて加えると一段と風味が増す。

  砧尽きて又の寝覚や納豆汁



おまけ情報 芋がら縄(芋茎縄)とは? 

 鎌倉時代から戦国時代の野戦食(レーション・戦場携行食)として「芋がら」が利用されていました。芋がらを縄のように網んで、味噌で煮て干したものを、お湯で戻して味噌汁にしていたようです。食べる前は縄として利用したり、腰などに結び付けて携帯していた当時のインスタント味噌汁です。

時は戦国時代、戦場の主力であった足軽の糧食は通常、主食としての糒や握飯と共に副食として芋がら縄という物を携行していた。この芋がら縄とは、里芋の茎の皮を剥いた芋がら(今で言う ずいき)を縄のように編み、味噌で煮しめてから干した物である。
食事の際には、鉄の陣笠を逆さにして鍋とし、たっぷりのお湯を沸かしそこに芋がら縄をちぎり入れる。そうすることによって、芋がら縄から味噌が溶け出し、芋がらもやわらかくなって食べられる具となり、即席の味噌汁が出来上がるわけである。(ニコニコ大百科 民明書房刊「味噌汗の具といえば百合根」より)

ほかに
〜芋の茎を味噌か塩で煮て干し、縄にする。これを副食物として用意しておくと、不意の出陣に便利だった。芋縄の製造は主に雑兵の家族の仕事とされた〜

〜雑兵物語・荷宰料<八木五蔵>の章には、「いものくきは荷縄になって、味噌で煮て荷を引っからげて来た程に、其縄を引っきざんで水に入れてこねまわせば、汁の実にもなるべい」〜

〜茎は昔から飢饉の備えに干しておくことが多かった。いつの頃からか、それを味噌で辛く煮て乾燥することが始まり、戦国時代の荷運びで荷縄に用いるようになったのだろう。他に干し葱、干し牛蒡、大根の葉、ぜんまいなどの山野草も同じ用に味噌煮にして持ち歩いた〜
(「雑兵足軽たちの戦い」東郷隆著より)


 当時から乾物はたくさんあるなかで、芋がらが選ばれたのは、どこでも簡単に栽培できた里芋であり入手しやすいもので、茎の栄養は当時に不足するようなものでないものの、独特の食感と満腹感があり、繊維質が強いため味をつけてまた乾物に戻すことができ、且つ「縄」としても利用できるため、非常食に選ばれた一番の理由ではないかと思います。

 加藤清正の熊本城では籠城戦にも耐えるために畳にも芋がらが使われていたとあります。文献はありませんが、最悪の飢えをしのぐための縄として利用するタイプと、食べることが目的で携帯食としたタイプなどがあったと思います。

芋がら縄の作り方

 詳しい文献は見当たりませんでしたが、「食べる」ことを前提にした方法を考えてみました。
 芋がらは、長く手も80cm程度。縄にせず、まずは芋がらを茹でこぼし(あく抜き)ます。分量は、芋がらを1人1本として、1人分あたり、鍋に1/2カップほどの水と味噌を大さじ1.5杯ほど(鍋に味噌が残るので多めにする)を入れてよく溶かし、そこに芋がらを入れ、水分が少なくなるまで弱火で煮込み、粗熱をとったら天日干しなどで乾燥させてできあがり。

※芋がらを煮込むときに、鰹節などを加えていたという情報もあります。また、三河だったら「赤だし味噌」など、作る地域(食材の違い)、作るときの経済事情、作り手の経済事情(食材の有無)などから味は千差万別だったと思います。

芋がら縄の食べ方

 食べるときは、芋がらを1cm程度に刻み、1人分でカップ1ほどの水と一緒に鍋に入れ、中火で沸騰したらできあがり。

さて、どんな味がするのか?

 味は味噌味の芋がら煮といったところ。(そもそもおいしいことを目的にしたものではありませんが)。当時は、体力が消耗し、空腹時だったのであれば、五臓六腑に染み渡ったのでしょう(山登りをされる方は試してみては?)。残りは少な目のお湯でもどして七味唐辛子を振り、酒の肴にしてみました。

当時の味はまさかの
 芋がら縄は、腰に巻いたり、荷物を縛る縄としても利用していたため、長戦では、泥や汗が染み込んで異臭を放ち、食べるのは「相当にきつかった」ようです。それを自嘲する意味で「御味噌汗」という言葉もできたほど(ニコニコ大百科 民明書房刊「味噌汗の具といえば百合根」より)。不確かな情報とのこと。字消し対応します(ご指摘ありがとうございました)。

戦国時代の野戦食
 テレビ「所さんの目がテン!」では「戦国時代・足軽の科学」の回で歴史研究家の小和田泰経先生監修により、鰹節、兵粮丸(きな粉やそば粉、クルミなどに、はちみつと日本酒を加えて混ぜ合わせ。3cmほどに丸め、1時間蒸し、一日天日干し)、干飯(玄米を蒸して天日干し)そして「芋がら縄」が紹介されていました。野戦食の再現してみてはいかがでしょうか?
 とくに兵糧丸は、「戦国武将がたちが苦労して考えだした保存食の傑作〜兵糧丸を一個服すれば数日間は空腹感がおこらず〜いささかも体にこたえないという」(永山久夫 たべもの戦国史)と云われ、大変興味ふかいものです。これはいずれ。

 昔ながらの芋がらの購入はこちらから

わかっているだけでも江戸時代から受け継がれてきた在来里芋の茎を使用。
一般の芋がらよりも太くて強度も高い。

全国有機農法連絡会 連絡先