稲作だより,  土の声

ホウネンエビ 土の声 2018.07 No.149

▼先月号では、「アメンボ」の甘い飴のような匂いを確認できずにタイムリミット。その後、熊谷さんの田圃に立ち寄り、アメンボの匂いを確認しようと田圃のなかを覗くと、メダカくらいの”なにか”が数匹泳いでいる。メダカは群れていて、人影をみたらさっと逃げてしまう。そっとしゃがみ、首を伸ばして見ると、頭の両脇に黒い目があり、お腹にある多くのヒダをヒラヒラさせてゆらゆらと泳ぎ、尻尾は、赤く二股に分かれている。まるでエビみたいだ、、、あ、これ、ホウネンエビだ、どこで見たのかは忘れたが、間違いない。
▼ホウネンエビは、甲殻類に属し、ミジンコなどと同じ節足動物で、春に水が溜まり、その後干上がる田んぼなどでしか見られず、出現した年は豊作になることから「豊年蝦」と名がついている。現在では、どこの田圃でも見られる生き物でなく、しかも、熊谷さんの田圃では、はじめてのこと。
▼カブトエビの卵は乾燥に強く、環境が整うまで何十年も卵の状態でいられると聞いたことがある。だとすると、毎年発生するのではなく今年の気象条件が関係していると思い調べてみた。ホウネンエビは、20度以上の水温で孵化し、10日ほどで成虫と同じ大きさになるらしい。孵化した6月上旬の気温は30度を超える夏日が週に5日もあった。例年よりも5度以上も高い。この時期に水温が高いことは苗にとっても好条件。ホウネンエビが発生する年は豊作というのも理に適っている。今年は豊作の可能性が高い。