稲作だより,  土の声

何はなくとも香の物 土の声 2018.12 No.154

▼日本人のコメ消費量は54キロ。昭和36年の118 キロをピークに比べて半分以下。それでもご飯は主食であることは変わらない。
▼昔から「何はなくとも香の物」と云われてきたが、これも変わらないような気がする。食卓に白菜漬けなどの香の物が一品加わるだけで食欲が沸く。一切れを口に入れ、続いてご飯を頬張る。噛みしめたときに滲み出る汁気とご飯が一体となった瞬間はもはや快感。沢庵漬けなら、厚切りの迫力ある歯ごたえと重厚な味わいを楽しんだり、薄切り、拍子切り、細かく刻むなど切り方を変えるだけでも味わいがガラリと変わる。味が強すぎるときはみかんの汁を一滴たらすと絶妙に中和してくれる。
▼漬物は野菜の嵩がぐっと少なくなるうえに、保存性は高まり、乳酸菌などが元気に働き栄養価も高くなるので健康にもよい。少量ならば、塩気をきつくしなくともジッパー式の袋に入れて空気を抜いた状態にして、冷蔵庫で保管ができる。一番簡単な漬け方は、白菜なら四つ割りにして日干しをして、重量の2%の塩に、刻み昆布、唐辛子、みかんの皮、人参などを加えて、保存袋に入れ、その上から軽く揉み込み、1時間後くらいにもう一度揉み込む。すぐに食べられるし、二つに小分けすれば一つは乳酸発酵を見込んだ熟成用にもできる。大根も四つ割りにしてから日干しにして、同じ要領で簡易な沢庵漬けができる。ほかにタッパーに入れた味噌床や酒粕床が冷蔵庫にあると重宝する。