稲作だより,  土の声

最上川氾濫 土の声 2020.08 No.174

▼8月1日土曜日、長い長い梅雨があけた。その間の熊本で線状降雨帯による激甚災害、そして28日~29日にかけて記録的な豪雨により、ここ山形の最上川や支流が氾濫し、周辺都市の大蔵村、中山町、大江町、村山市、大石田町が水没した。全有連生産者は村山の柴田さんが不運にもこのなかにあった。被害は大小合わせて全県にわっている。最上川氾濫を防ぐため、支流や細かく張り巡らされた用排水路は堰き止められ行き場を失った水、許容をオーバーした水は瞬く間に田畑に流れ込んだ。
▼減反政策により、田圃は畑地として野菜や花卉(路地栽培・ハウス)果樹畑に転作しているところも多い。今回は近くに河川がなくとも浸水被害が多発。収穫前の作物が出荷不能になった生産者が多く出た。
▼一方、水田ではこれまで雨が多く、出穂を迎える前に田を乾かす「中干し」を逃していたところだった。田を乾かすことにより土中の有害ガスを抜き(CO2削減に一役)、酸素を送り込み、稲を活性化させ、稲刈り時のぬかるみも防ぐ役割があった。ここに大量の水が加わり、出穂期を迎えることになった。
▼今年は水不足を一番の心配とし、猛暑への対策を強化していた年。裏をかかれたようでなんとも言えないが、これまでの曇天により土壌の窒素は残存気味で推移し、イモチ病も心配だ。窒素を切り、中干しに近い効果をもたらすのは、丁寧な間断潅水が重要との指針もある。最善を尽くしてゴールを迎えたい。