稲作だより,  土の声

食糧危機 土の声 2022.04 No.194

▼新型コロナのパンデミックによって世界の経済活動は著しく落ち込み、温暖化の影響により世界各地で大規模な洪水や干ばつが頻発し、昨年COP26もあり、再び環境問題意識が世界中で高まっていた。コロナが弱毒化し世界が経済活動へシフトし始めると原油は高騰し出端を挫かれ、ロシアによるウクライナ侵略戦争によって世界は分断し、人々の生活を苦しませることになった。
▼ウクライナの小麦は世界7位(ロシアは世界1位)、トウモロコシは世界6位の輸出量を誇る。輸出先はおもに中東や西アフリカで、4億人分の食糧に匹敵する(WFP)。しかし、ウクライナは穀物倉庫、農機具までも破壊され、作付けを控えるトウモロコシやヒマワリは減少、初夏に収穫される小麦も大幅な減収が見込まれる。現在の在庫の価格上昇はもちろん、生産量が減り世界は食料危機に陥ると云われている。
▼もう一つの要因に肥料問題がある。農業の主要肥料「塩化カリ」は、ロシアとベラルーシで世界の4割近くを製造。国際相場はすでに3割上昇し、製造力低下や輸出規制があれば世界の食糧生産に大打撃となる。
▼有機農業は化成肥料を使わなくとも食糧を生産できる。有機肥料も飼料や原油高騰の2次的な影響を受けるが国内で製造される点で心強い。
 来月には田植がはじまる。一刻も早い戦争終結と食料不足が軽微であることを強く願いつつ世界の分断や気候変動のリスクに怯むことなく、みなさまの米を作り、新しい時代の強い農業であることを証明したい。