稲作だより,  土の声

高齢者1人でもコメ作りができるが 土の声 2018.05 No.147

▼春の大型連休ゴールデンウイーク。米作りの現場では「田起こし」を終えて水を待っているところ。米を作る農家の多くは、高齢者やサラリーマン農家が多いのだから、人手のある大型連休中に田植えをするのが都合がよいのでは?と思ったことがあります。
▼ところが、年を重ねていく生産者をフォローするかのように田植え機や農機具は進化し、春は、畦畔の管理、田起こし、肥料撒布、代かきと、いずれも生産者の姿は一人。田植えのときには苗箱をセットする補助員が必要なくらい(酒田の堀さんは一人でこなす)。田植え機のスピードも向上し、あっという間に田植えは終わる。欠株も少なくなり、手植えによる「補植作業」も見られなくなった。ちなみに昭和30年の一反歩あたりの直接労働時間は190時間、現在はわずか23時間。人手の心配はご無用なのです。さらに「苗づくり」や「田植え」すら行わない「直播栽培」が開発・普及し、「田植え」自体がなくなる米作りがすぐそこに来ています。
▼高齢者が1人でこなせるほど進化した米作りとはいえ、農機具の維持管理費の負担は大きく、手取りは少ない米作りに、深刻な担い手不足という現実が突きつけられています。技術革新や規模拡大が進む一方で、私たちのように食べる人と作る人が結びつき、安心して米作りができる環境は強みでもあります。
 まもなく田に水が入り、蛙の大合唱を合図に田植えがはじまります。