稲作だより,  土の声

いつまでも自然が許容するのだろうか 土の声 2019.07 No.161

▼今年も熊谷さんの田圃に「ホウネンエビ」が泳いでいた。姿は見えなくとも泥を巻き上げながら素早く移動し土中に潜ったのはドジョウだ。畔にいたカエルやイナゴやバッタの幼齢虫、クモが水田に逃げ込む。足のはえたオタマジャクシやガムシ、ヤゴ、よく見れば、ミジンコなどもたくさんいる。
▼日本のほとんどの田圃では、田植前から田植えにかけて除草剤や殺虫剤などが撒布されている。その薬剤は「浸透移行性と長い残効性」という特長を持つ。
▼殺虫対象はイメミズゾウムシやウンカ、イナゴ、ハモグリバエなどの昆虫たち。影響はそれだけでなく、ミジンコやイトミミズをはじめとする水生物にも悪影響があることがわかっている。同時に、それを餌にしているオタマジャクシ(カエル)やヤゴ、ドジョウも減る。それを餌にしているサギや蛇も減る。どんどん減る。殺菌剤の使用では、目に見えない菌までをも駆逐する。残った薬剤は土壌に沈殿するか、河川に流れて、私たちの口にも入ることになる(実際に検出されている)。これから7月の中旬になるとネオニコチノイド系の殺虫剤が全国の田圃で撒布される。
▼いつまでも自然が許容するのだろうか。人への影響は本当にないのだろうか。
▼私たちは、自然環境に負荷をかけない米作りで態度を示し続け、少しずつでも拡大させていくのが使命です。