稲作だより,  土の声

かくれんぼⅢ 土の声 2021.08 No.186

 穀類に発生するメイガとの「かくれんぼ」は終わらない。前号でご報告の「ノシメ」マダラメイガの成虫はその後も見かけない。幼虫への対策も続けている。ただし、体長1cmほどの「スジ」マダラメイガは先月より少なくなりながらもまだ見かける。おもに光のあたらない精米機器の底の部分や内部の各所にいる。覗き込めない底の部分には風を送り、飛び立ったところをすかさずキャッチする。内部や排出口など毎回清掃する場所にもまぎれている。発見しては、まだいたのか、これは二世代目か、つぎはここか、などメイガゼロを目指してかくれんぼを続けている。
 精米機器は数カ月単位で定期的に分解し清掃・調整する。そのなかでも幼虫などを発見してきた。先日、通常は外さない精米機器のカバーを開けたときに「スジ」が飛び立った。そこには精米時の糠などがうっすらと入り込んでいる。こんな場所に卵が紛れることができれば孵化後は安住の地となる。しかも、体が薄いのでその隙間で羽化しても、わずかな隙間から外に脱出することは可能。体が小さいことを活かした潜伏能力を見せつけられて、目指せゼロが一歩後退、敗北感を味わう。
 一方「ノシメ」撲滅については実験していることがある。2週間前に徘徊していた老齢幼虫をボトルに入れたところ数日で繭を作った。羽化するタイミングを知ることができる、このときがチャンス。産卵数は数百。同時期に違う場所で羽化するはず。かくれんぼのレベルを上げて一斉検挙できるか。来月にご報告します。