稲作だより,  土の声

かくれんぼⅣ 土の声 2021.09 No.187

 前月号で、その後をご報告します、とした「メイガの繭」は羽化までの日数が経過しているのに動きがない。二つあるので一つを開いてみた、、、。すると中には黒いものが。どうやら蛹で終わっていたようだ。その翌日、一匹のノシメマダラメイガが柱に止まっていた。久しぶりのご対面。相変わらず日中は動かないのですぐさま捕獲。目の届かない場所に潜んでいた蛹の羽化のタイミングかと精米所をくまなく点検してみたが発見できず、その後も姿は見ない。つまり来年は激減する(勝利宣言)。生産者たちにも米の乾燥調製施設の清掃を徹底してもらおう。
 一方、小型で ひらひらひら と飛び交う「スジマダラメイガ」はポツリポツリと見かける。すでに二世代目だろう。視界に入ったものはほとんどを捕まえることができるが、視界に入らず潜伏し、産卵するものも多くいるはず。しかも、こちらは米糠が少しあれば成虫になれる。その米糠の香りがする場所に集まるので、周辺に木酢液5倍液に唐辛子を混ぜ込んだものをスプレーをしてみた。慌てて飛び立つが、翌日には同じ場所に潜んでいる。幼虫を捕まえたときに、木酢液原液に浸してみたり、唐辛子の種の中に数日放してみたこともあるが、生存率は百%。調べてみると唐辛子の忌避効果は揮発性のテルぺノイド系化合物が有効成分で、これは乾燥させる過程で弱くなり、メイガは唐辛子ですら食害するという。手ごわいからこそ、全世界にはびこっている。