稲作だより,  土の声

かくれんぼ 土の声 2021.06 No.184

▼計量器で精米した米を袋に流し込んだら、その中へ唐辛子をすっと差し込み封をする。これは、穀物に発生する虫への対策。虫混入の可能性の表明でもありながら、混入はゼロを目指さなくてはならない。
▼昨年から大幅に改善したものの、5月に「ノシメマダラメイガ」を目にするようになった。これは幼虫で越冬した第一世代目。成虫の寿命は約10日で、摂食せず繁殖活動のみ。メスは動かずに日が暮れた18時頃からフェロモンを出してオスを呼び寄せる。オスはその臭いに向かって飛び回る。見つけると羽を激しく震わせ交尾に入る。翌日には産卵がはじまり、その数は200個以上。およそ5日で孵化し、3週間で幼虫から蛹となり、1週間で成虫となる。
▼まずは、この第一世代を抑えることが最重要課題。一般では殺虫剤の燻蒸を定期的に行うが、全有連では薬剤などは一切使用しない。よって、対策はハエ取りガムと唐辛子、そして活動の鈍っている朝と活動がはじまる夕方に行う捕獲作業になる。
▼精米機器やダクト、コードが複雑に交差したジャングルジムのような精米所の奥に体をひねらせて入り、上下逃さず目を凝らし、発見すれば捕獲、目視できなければ風を送り、飛んできたところを捕獲する。少しずつ移動しながら、これを繰り返す。まるでメイガとのかくれんぼ。一回に数匹の捕獲ながら、7月の二世代目が激減したら大成功。失敗すれば、まだ見えていない対策が明かなになるはず。