稲作だより,  土の声

かくれんぼは負け 土の声 2021.10 No.188

▼メイガとのかくれんぼは、スジマダラメイガに軍配があがった。夏を終えてまだちらほら見る(つまり2世目、3世代が羽化している)。激減しながらも、みなさまのお米のなかに成虫、幼虫、卵が紛れ込んだはず。その声は届いておりませんが、この場をお借りしてお詫び申し上げます。これから越冬幼虫をできるだけ減らし、来期は新対策を練って迎え撃ちます。
▼田圃では稲刈りシーズン突入。しかし巷の農家たちの顔は晴れやかではない。「やるだけそん」「見切りつけるときかも」「経費がっつり落としたのに」「設備投資しちゃったんだよね、笑えないよ」「保険なんて入ってない」と一般の若手生産者の声。米価が2割ほど下落したのだ。
▼生産者はこの5年で25%も減った上、65歳以上が7割近く(大半は70歳以上)を占めている。60歳以下は全体の2割というのが実態。高齢者は「自分の世代で終わらせたなくないという」意地を見せるが、機械の維持費は重くのしかかる。しかも8割近くが後継がいないと回答している(農林業センサス)。確かな収入がないと生きていけない若手は日本の田園、日本の主食を守る義理はないという反応にも頷ける。
▼全有連は皆様のご支援の下、日本の全水稲農家のなかでも上位に入る米価に恵まれている。それでも後継者は秋田の米山さんのみ。有機農業は持続可能な農業。有機米を食べる会も若手生産会員、消費会員を取込み、持続可能な取り組みとして皆様とともに誇れる会にしたい。