稲作だより,  土の声

海苔の音 土の声 2021.05 No.183

16分音符で「バリバリバリバリバリッ!」、「パリッ」ではない。
▼こんなにも鮮烈で壮快な音を発するとは思わなかった。これは海苔を巻いたおにぎりを食べたときの音。海苔 半切りの中央に塩にぎりを右手でドンとのせ、持ち上げたら左手で海苔を挟み込んだら間髪入れずにガブりとする。そのときの音。
▼口の中には潮の香りと海苔の旨味がす~っと広がり、舌を上機嫌にさせてくれる。あまりにもおいしかったので目の前にあるものをはじから巻いて食べた。古漬けの青菜漬け、おひたし、焼鮭、、、どれもおいしい。冷蔵庫からチーズを取り出し、あれやこれや。
▼コツは包み込んだと同時にガブりとするだけ。この楽しみはどんな海苔でもよいと思ったが、家じゅうの海苔(なぜだか半端や未開封がたくさん)と食べ比べした結果、我が家の海苔ではどれも役不足だった。
▼この海苔を作るのは、東松島で海苔養殖をする津田さん(28)たちと工房を切り盛りする母の清美さん。震災から復活をとげ、昨年は奉献乾海苔品評会で準優勝し、皇室へ献上するほどの腕前を持つ。
▼海苔の養殖は、遺伝子組み換え種子や除草剤はもちろん肥料、養殖魚のように抗生物質入りの餌などを用いることもなく、種付けした縄を海に浮かせてひたすら管理するのみ。収穫後の縄の処理に食用認可の有機酸を使う程度で、環境汚染は最少で持続可能な漁業。水温上昇や台風被害のリスクが高まるなかで世代交代をはたした若手漁師は地域の宝であり、日本の宝でもある。早速、提携をお願いした。