稲作だより,  土の声

ご飯を健康食品に 土の声 2023.01 No.203

▼年末にバッテラを作った。大阪発祥の押し型を使った寿司。型に酢で〆た鯖を入れ、そのうえに酢飯を入れ、下駄のような蓋でぎゅっと押しこみ、天地を返して型を外せばできあがる。今回は酢飯に生姜の甘酢漬けや青しそ、煎りごまを合わせてみた。シャリを軽くにぎる寿司とは違い、米粒がぎゅっと詰まった重量感のある酢飯の食感と旨味はあとをひく。酢で〆た魚とご飯が一緒なのだから3日ほどは日持ちすることもうれしい。
▼お酢は腐敗防止に最適で、その根拠となる実験結果もある。炊いたご飯に菌を加えて、5度、20度、30度の状況下で一日保存した試験では、どれも菌が増えなかった。お酢の量はご飯茶碗一杯にお酢小さじ0.5杯。お酢は加熱しても効果は変わらないとも。お弁当にもおすすめだ。ただし、炊飯時に加えたご飯は味気なく、酢飯のように糖分がないと冷めたときに硬くなる。そこで、炊き込みご飯や混ぜご飯にお酢を加える方法ならば食べやすく食欲も沸く。これなら一日分をおひつに入れて食べたり、お弁当にもおすすめ。加えて、お酢を毎日大さじ1杯を摂取していると血糖値の上昇を抑える効果も実証されている(ご飯だけでは酢が不足するので酢の物や減塩効果を狙って味噌汁やおかずに隠し味として使えば簡単に摂取できる)。
▼ダイエット=糖質オフという情報から、ご飯を減らすことを多く見聞きするが、栄養バランスが崩れて不健康になるケースもある。ベジタブルファーストは必須としながらも、ご飯を減らすのではなく、お酢をはじめ、様々な具材や雑穀、オリーブオイルなどを加えていつものご飯を健康長寿食品にするようなセンスを高めていきたい。