稲作だより,  土の声

一人ごはんでも手作り味噌汁を 土の声 2022.12 No.203

▼ご飯の伴侶「味噌汁」。即席味噌汁市場は伸長を続け、単身世帯や夫婦二人世帯など小家族向けとなる健康志向型の商品や減塩タイプがトレンドで、フリーズドライ品の成長も著しいという。
▼たしかに自分ひとりだけの食事に味噌汁を作るのは「非効率」で、多く作って余らせるのはもったいない。しかし、味噌汁はたいへん滋養豊富なスープであり、健康に欠かせないだけでなく、その味は心の奥底にまで響く。しかも、レシピは不要で、豆腐、野菜、きのこ、海藻など不足する栄養素はもちろん、卵や肉、魚までも受け入れてくれる包容力がある。だからこそ、忙しい、一人分だけ、そんなときこそ味噌汁を作りたい。
▼簡単で滋養豊富な一杯を作るための基本として「本物の滋養は本物の健康を作る!」とご紹介した「伊吹いりこ」と「昆布」の水出しにたどり着いた。麦茶ポットなどに水1ℓに、いりこ15g刻んだ昆布15gを加えて冷蔵庫で一晩おくだけで、とても甘みのある出汁ができる。朝に一杯分を(栄養重視なら中身ごと)小鍋に入れ、冷蔵庫にある余り野菜や海藻類やキノコ類を投入し、中火でグツグツと煮込み(細胞壁が壊れ機能性成分が溶け出し、より吸収しやすい状態になる)、味噌を加えればできあがる(減塩なら、減塩味噌を使わずに、味噌を減らしてりんご酢を数滴たらし、七味唐辛子を一振り)。残りの出汁は次の日も使える(余れば煮物などに)。出汁や具材がないときは、お湯を沸かし、椀に鰹節や煮干し、乾燥わかめ、ふのり、とろろ昆布などの海藻類や乾燥野菜、お麩などをたっぷり加えて、味噌を大さじ一杯入れ、お湯を注ぐだけだけで心を穏やかにしてくれる味噌汁ができる。
▼「手間のかからない味噌汁」を自分で作るか、手作りとは味も滋養の量も程遠い「即席味噌汁」を選択するのか、人生を大きく左右するような気がする。食は命なのだから。