稲作だより,  土の声

白米に旨味を乗せる精米 土の声 2023.02 No.204

▼お正月特別便に入れた「サラダわさび菜」。出荷してくれたのは中山町の菊池さん。正月明け早々に納品にきていただいたお礼を伝えると「いいんだ、これから米の配達もあるからさ」といつもの笑顔で答えてくれた。「え、お米も作ってたんですか」(野菜と果樹で忙しくしていたので)「そうだよ、オレの米よぉ、なんか人気があって、口コミで広がってくれるんだよ」「自分じゃわからないけど、粒も大粒で張りがあるって言われるんだよ」「東京の星付きのホテルの料理長も私の料理はこれじゃないとダメと言ってずっと使ってくれてるんだよ」と続く。こちらは驚く。
▼いかに経費をかけずに米が作れるか腐心せざるを得ない日本の稲作農家とは肥培管理が違うはず「どんな作り方をしているのか」と尋ねると「詳しくは言えないけど地元でうまいと評判の人のところに何度も通ったからね」と濁されたが「佐藤さんはいい米一杯食べてるんだから、本当にうまいのか、今度持ってくるから喰ってけろちゃ」と菊池さん。
▼翌週になり「ちょうど配達があったから持ってきたよ」と手渡されたお米。その場で袋を開け、手に取ってみると粒張りがよい。老眼をかけなおしてまじまじと見ると、わずかに胚芽が残っている。これも人気の秘密か、、、どうやって精米しているのか尋ねてみると自家製米という。そのコツを聞き出してヒントを掴んだ。米のコンクールでは食味をあげるために、白米にするのではなく、うっすら胚芽や果皮を残すのだと熊谷さんから聞いたことを思い出した。
▼その後、菊池さんの米を試食してみるとやはり力強い旨味がある。有機米を食べる会の白米もこのテクニックで精米してみようと思う。乞うご期待。