稲作だより,  土の声

やはり口飽きしない米が主役 土の声 2019.12 No.166

▼11月11日、山形で開催された全国ブランド米産地生産者交流大会に足を運んだ。目的は、ブランド米の試食会。銘柄は、山形が誇るブランド米「つや姫」が中心。というのは、つや姫の生産は全国展開しているため。山形、宮城、岐阜県、和歌山県、島根県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県の腕自慢のつや姫が持ち寄られ、20釜ほどの炊飯器がずらりとが並ぶ。これを一口ずつよそってもらう。これは、まずまず、あれ、こんなものか、おー、これは一番かも、隣の釜、隣の釜と順に食べ比べるので、違いがはっきりわかる。同じ銘柄でしかも各地の実力者の米だというのに同じ味はない。同じ遺伝子を持ちながら、気候風土、栽培方法、乾燥調製、精米でここまで味の持ち味が異なる。
▼おいしいと感じたお米は、香り、甘味、もちもち感、粘りなど「一口目」のインパクトが強い。官能試験でも、少量のお米で評価される。よって、一口目がおいしいお米は、こうしてブランド米としてデビューし、コンクールなどで優勝することが多い。一方、口飽きしてしまうという欠点を持つ。ついつい食べ過ぎるほどのご飯は、おかずを選んでしまうこともある。
▼毎日食べるお米は、特長が出過ぎることなく、おかずや味噌汁との調和がよいもので、やわらかめ・硬め、いずれもうまく炊き上がる、粒立ちのしっかりとした、噛めば噛むほどにうまい完熟米。これを基本にしつつ「食の愉しみ」としてブランド米もご紹介してみようと思う。