稲作だより,  土の声

台風19号 土の声 2019.10 No.164

▼「ここは畑や田圃が冠水しただけで済んだ。水がかぶった野菜はどうなるかわからないけどね」と野菜を供給してくれている宮城県登米市の菅原さん。「大郷町の知り合いは、冠水で倉庫のコンバインや米までみんなダメになったらしい、保険に入ってればいいんだけどね、入っていても復旧は大変なんだから。あっちは稲刈りも終わっていないところもあるし、大豆も多いから、それもダメだろうし」と続く。(大郷周辺都市の大豆だけでも、千五百ヘクタールが冠水、被害額は三億七千万円)。
▼今回の台風の農業被害は、農地損壊で九千四百箇所、二百四十億円、農業用施設等で一万一千五百箇所、六百五十二億円 、農業用ハウス等で三千八百件、二十七億円という。9月の台風15号で大打撃を受けた千葉の農業現場では1カ月以上が経った今でも復旧の目途は立っておらず、春の作付も難しい状況という。
▼稼ぐ場を失った生産者の再建は、自宅修復に加えて、農地のがれき撤去、施設の新設、農機具の購入、土づくりがあり、二重ローンも加わる。当然ながら高齢者はもちろん、若手もやむなく離農してしまう。小規模被害でも一生産者には大打撃になるのだ。
▼温暖化により大型台風の上陸は確実に増える。今後に備え、復旧を目指す生産者に強力に支援できる体制を急ぎ築きたい。