稲作だより,  土の声

産直は生産も消費も守る 土の声 2022.11 No.201

▼え、これが「はえぬき」?と驚くほど、つやつやピカピカに炊き上がった。その米は全有連稲作連合会 堀会長の合鴨米。自宅で炊いてみると、やはりつやつやピカピカで、それがより一層強い(圧力IH)。やや果皮を多く残した胚芽米もつやつやピカピカ。加えてボソボソではなくモチモチでうまい。種もみに間違いがないか確認したほど。
▼この喜びはさておき。米価(概算金)は10%ほど上昇したにも関わらず、スーパーの店頭価格は横ばいだという。他店より高ければ多くの人がそちらに流れてしまう。需給均衡の達成も供給過多時代のイメージのまま米を価格の優等生扱いをしていると、いきなり米不足がやってくる可能性も。
▼ここ10年ほどで米作りの現場では再編が進んできた。体力の限界を迎えた超ベテランたちは、地域のベテランに引き受けてもらってきた。これが続き、すでに限界まで受け入れている状況に。このベテランたちが数年後に限界を迎える。つまり、地域を取りまとめた量の主を失う。さらに資材の高騰により作付け面積が5町歩以下で数十万円の赤字、10町歩でもほとんど利益がなく、98%近くの水稲農家がこれに該当すると試算が出た。なにも対策がなければ超高齢者や週末農業でもできるほど進化した米作りであっても続けることはもはや無理な相談。担い手が生まれるはずもない。
▼世界に目を向けてみれば、爆発的な人口増に異常気象やロシアの侵略戦争などにより食糧危機は現実に起こり、来年にはアメリカは食糧の輸入国に変わり、自給率の高い中国でさえ食糧増産に加え、食糧輸入を戦略的に急拡大させている。他国に依存したくても(あってはならない)できない日本に食糧不足と食糧高騰時代が到来するかもしれない。