稲作だより,  土の声

今年はどうなるか 土の声 2018.09 No.151

▼稲穂が垂れてきた。山形県北部の最上地域では、8月上旬、中旬、下旬と三度目の豪雨。ひどいところでは冠水被害、そうでなくとも稲が倒伏した田圃も多い。そして台風21号がやってくる。被害が軽微であることを願うしかない。
▼温暖化により地球を流れる気流が変化し、気温、海水温が大きく変動している。局所での気圧配置も過去に例がなく、百数十年ほどの記録では参考にできない。最新のコンピューターでも台風の進路予測精度はこの通り。自然からの警告と受け止め、干ばつで雨乞いをするなら、排水対策をしたほうがよい時代になった。
▼なにはともあれ、田圃では、稲が元気で登熟をはじめている。日中に光合成で作られた炭水化物は、深夜から早朝にかけてお米に転流してデンプンとなって中心部から蓄積していく。気象条件の許容を越えると異常も出る。高温障害は、34℃以上の日が5日間で整粒歩合が約3%、7日間で約7%低下する。登熟初期に障害が起きれば、中心部のデンプン蓄積が少なく、光を乱反射するために「乳白米」となる。ただし外観は光沢がある。後期に起こると外側が白濁し、光沢のない餅米のような見た目となる。昨年は、日照不足によってこの乳白米が増えた。今年はどうか。
▼最後の難関は、刈り取り時期の天気。雨が多いのか、秋晴れが多いのか予測は不可能。ぬかるみでの稲刈りをイメージしつつ、一年に一度だけ使用するコンバインや乾燥機の点検整備を確実に行うのが備えになる。