稲作だより,  土の声

今年はカラスと知恵比べ 土の声 2017.08 No.138

▼山形県内陸部の天童から新庄方面に北上し、日本海に注ぐ最上川に沿って車で1時間。庄内平野に入ると稲の姿が変わります。稲穂が風に揺られてキラキラと輝いているのです。この日は陽射しが強く夏日にも関わらず、車から降りても「そよ風」があるので「じとっ」と汗が出ません。到着したのは合鴨米を作る堀さんの田圃。
▼合鴨が田圃にいる期間は一時期で、田植え後から7月上旬くらいまで。おもに雑草が生えてくる時期に限られます。とはいえ、鴨に働いてもらうには、天敵から守ってあげることが必須条件。堀さんのところでは毎年うまくいっていましたが、今年は違ったようです。
「カラスが覚えちゃってのぉ」と堀さん。カラスやトンビなどの上空の天敵対策にはネットの支柱を利用してテグスを張り巡らせてあります。今年はこのテグスが古くなり、カラスにテグスが見えてしまったようです。カラスにしてみれば、中にいる鴨たちを狙いたい、、、目に見えない何かが羽に引っ掛かり怖い、、、ところが、それが目に見えてしまえば、、、賢いカラスにとっては簡単。支柱に飛び乗り、鋭利なクチバシでテグスを次々と噛み切ります。「そうだな全部で20羽以上はやられたな、テグスの張り直しに追われたよ」と堀さん。幸い、鴨たちは除草を済ませてくれていましたが、カラスにやられてしまったことは心残り。堀さんの合鴨農法はかなり精度が高いものですが、この経験を活かし来年はさらに完成度が高まるはずです。
▼生育は順調。まもなく出穂時期を迎えます。