稲作だより,  土の声

合鴨農法の鴨の行く末 土の声 2017.07 No.137

▼秋田の米山さん、酒田の堀さんが取り組んでいる「合鴨農法」。田植え後に鴨を放すと、生え始めた雑草や、稲につく虫を食べてくれる。それだけではない。鴨が泳ぎまわることで、田圃が攪拌されて水が濁り、遮光されるのでその後の雑草の発芽も抑えることができる。同時に水中への酸素供給にもなる。ほかに苗に鴨が触れることで、生育もよくなると云われている。
▼いいことばかりのこの農法。しかし、幼い鴨は天敵が多い。上空からカラス、トンビ、地上からは、ハクビシン、タヌキ、キツネ、、、。そのためには、田圃をぐるりとネットで囲い、電気牧柵という触れると高圧電気が流れる電線を張らなくてはならない。上空のカラスの目を欺くように透明のテグスも張り巡らせる。毎日の餌やりも欠かせない。手除草のような重労働はなくとも労働時間は長く、費用もかかる。もちろんこの鴨も購入している。
▼その鴨はどこからやってくるかというと、山形県の北部舟形町にある「山形第一農場」。おもに首都圏のフレンチレストランなどに出荷している鴨専門業者。東北で合鴨栽培をしている農業者のほとんどはここからひなを購入している。
▼そろそろ鴨は引き上げる時期となったが、役目を終えた鴨は、ここに引き取られて再び飼育される。しっかり餌を与えているところは骨格がしっかりしていい鴨になり、餌が少ないところは大きくならない。そこが悩みと云う。若いときの栄養が将来の体を左右する。