稲作だより,  土の声

信頼に応えるものを作る 土の声 2017.11 No.141

▼東北農政局より「平成28年産 米生産費(東北)」が発表された。作付面積別に見てみると、5反歩以下の場合、10aあたりの生産費が18万4千円(労働費約4万2千円)。作付面積の平均でもある3~5町歩では、11万7千円(労働費約2万8千円)、5町歩以上になると、10万1千円(労働費約2万4千円)と当然ながら下がってくる。
▼米価や収量によって異なるが、出荷先が同じであれば、どれも同じ価格になる。大規模の生産者がぎりぎり、小規模の生産者は手取りを削り、修理など出費がかさめば持ち出しとなる。だから、田圃でみかける稲作農家は若い人が少ない。というより高齢者ばかりである。「自分の体かトラクターが壊れたらやめる」と代々続けてきた米作りも自分の代で終えるという苦渋の決断をしていく。
▼有機農業はこの生産費の1.5倍とも云われている。自分の米を誰が食べてくれるのかを知っている農家は、これ以上手間をかけると赤字になる、、、などとそのブレーキはかけない。安心でおいしいものを作ることを期待されているし、それが生きがいにもなっているからだ。
▼健康を育む農作物は、手の届く範囲で栽培するからこそ信頼に応えるものが作れる。一消費者としてもコスト削減優先で面積が大きくなければ採算が合わない農業は必要かもしれないが選択はしたくない。今年のように収量が低い年は堪えるが、未来に続く「有機米を食べる会」でなくてはならない。