稲作だより,  土の声

具沢山のおかゆやおじや 土の声 2022.09 No.199

▼仏教の大衆部に継承されてきた「摩訶僧祇律」には「粥有十利」としてお粥にはつぎの十徳があると伝わる。
 一、【色】体の血つやが良くなり
 二、【力】気力が増し
 三、【寿】寿命が延び
 四、【楽】食べ過ぎとならず体が安楽
 五、【詞清辯】言葉が清く爽やかになり
 六、【宿食除】前に食べたものが残らず
 七、【風除】風邪を引かず
 八、【飢消】消化よく栄養となって飢えを消し
 九、【渇消】のどの渇きを止め
 十、【大小便調適】 便通も良い

▼コロナのようなつらい症状におかゆが役立つ。なにも受け付けないようなときには重湯がよいが、以降では栄養が不足する。高熱になればエネルギーを大量に消費するのでその燃料である炭水化物の補給は欠かせない。さらに、これを燃焼させるためにはビタミンB1(脂質はビタミンB2)などの補酵素が必要で、白米粥なら雑穀などでビタミンB1を、わかめや豆類、玉子でビタミンB2を、粘膜免疫を高める人参やかぼちゃなどの緑黄色野菜のビタミンACEを加えたい。

▼野菜などの「食材」を使うメリットはその栄養以外の機能性成分や腸内細菌の喜ぶ食物繊維などが豊富に含まれていること。食欲が戻れば、タンパク質も加えた具沢山粥にすれば滋養豊富で回復も早くなる。余り野菜や乾物、魚肉類などを鍋に入れ「ごった煮」を作り、最後にご飯を加えてじやじやと煮込むだけの「おじや」も”食べつかせる”ための最高の一杯になる。