稲作だより,  土の声

分搗き米 土の声 2020.11 No.177

▼お米の種の籾を取り除くと「玄米」になる。これを精米し、表皮をきれいに削り取ると白米となり、ふっくらと炊き上がる、おいしいご飯になる。
▼米の表面には筋があり表皮が少し残るとわずかにボソボソとした感じを受ける。が、噛み進めると白米にはない旨味が口中に広がる。実際に表皮と胚乳の間には旨味成分を持つ亜糊粉層がある。有機米を食べる会の白米はこれを残すために、やや精米白度を抑えて仕上げている。
▼胚芽米や七分、五分などの分搗き米の表皮はさらに多く「胚芽」も残されている。胚芽米を推奨している女子栄養大学教授 五明紀春先生は「一粒づつの米の頭に総合ビタミン剤のカプセルをくっつけたもの」と表現している。ビタミンB2等は炭水化物をエネルギーに変換する働きを持ちこの差は大きい。ほかに有用な「フェルラ酸」「トルコフェノール」「フィチン酸」「食物繊維」「GABA」などが含まれている。
▼新米前と米が柔らかい新米時期は、胚芽がポロリと取れやすい。圧力を弱めて胚芽を残せばボソボソ感は強まり、食べやすさを求めれば胚芽を失う。フルイで取り除かれた大量の胚芽を見て、これは皆様に届けるべきだと強く感じる。
▼届いた米がいつもより茶色いときは、昔ながらの「米を研ぐ」ことで舌触りがよくなる。最後の仕上げはみなさんの手で米を磨きあげ、おいしく、健康の源となるご飯に炊き上げていただきたい。