稲作だより,  土の声

毎年の自然災害では農業は立ち行かない 土の声 2019.09 No.163

▼いまだ冠水中で工場より流失した黒い油が浮いている佐賀県杵島郡大町町。ほとんどが田圃や畑。JAさがの情報では、水稲だけで5千ha超が冠水したという。お米に換算すると3万トン。55万人の一年分が賄える量になる。収穫前の米がダメになったことはもちろん、トラクターやコンバイン、籾摺り機、乾燥調製機などが水没し、農機具一式を失っていることも伝えられている。農業に関わるものとして心からお見舞いを申し上げたい。
▼代々と土づくりをしてきた田畑に土砂が流れ込んだり、田畑、水路、施設が損壊すれば、収入は途絶え、生産基盤を失い、農業機械等の返済も残る。物理的、経済的、心理的なダメージは計り知れない。つい先月にも、今回と同じエリアでの豪雨被害が起きたばかり。昨年も豪雨の激甚災害が起きている。
▼一度揺らいだ生産基盤を立て直すのは簡単ではない。集落で一件の離農があると、残った農地、農道、水路、共同施設の管理は、残ったものだけで行う。労働力だけでなく費用負担も増えると聞く。
▼数十年に一度ならば、未来に希望を託せるかもしれないが、毎年となると、、、しかも農業の現場は高齢者が中心。離農しか選択がなくる。
▼全有連の供給量は一地域のグループがあれば賄える。が、災害に強い供給体制のために各地に点で存在する生産者と手を携えている。リスクを分散し、且つ助け合える関係を維持し、備えます。