稲作だより,  土の声

寒気から大地を守ってくれる雪 土の声 2018.01 No.143

▼ここは雪国山形。年末から年始にかけて雪が降り積もり、田圃だけでなく街中が真っ白に。晴れた日のキンと冷えた空気と、遠くにそびえる月山や葉山が、この白い田圃の美しさをさらに際立たせます。
▼雪が白く見えるのは、太陽の可視光線のすべてが乱反射して混ざりあったときに起こる現象です。透明なガラスが割れると白くなる、水晶のような米を炊くと白く見えるのも同じです。この真っ白な雪も雪搔きをしていると雪と雪の隙間の部分は青く見えます。これは、光のうち、長い波長の赤は透過率が高く吸収され、短い波長の青は雪に反射するからだそうです。
▼話しがそれましたが、この雪に覆われた大地こそ雪国の宝なのです。正月明けには最低気温が氷点下5度以下という日が続きましたが、雪に覆われることでこの寒気から大地を守ってくれるのです。積雪量が30cmになると外気の影響を受けず、40cmになると、遮光率100%になると云われています。雪の下は真っ暗で、湿度は100%近く、摂氏零度で安定。この環境のなかで、越冬をはじめた蛙やミミズ、藁や有機物に宿った有用菌たちが、心地よい冬眠に入ることができるのです。
▼やがて春になり、雪解け水をたっぷり吸い込んだ田圃は太陽の熱を受けてぬくぬくと温まり、生き物たちが一斉に蘇ります。そして月山や葉山の雪解け水が、この田圃に注ぎ込まれて米を育んでくれる、、、。
 自然に感謝し、今年もうまい米作りに励みます。