稲作だより,  土の声

有機の田んぼは生き物の楽園 土の声 2016.07 No.125

▼田植えから一か月半が過ぎた。事務所近くにある熊谷さんの田んぼを覗いてみると、人の気配を察知したのか、なにかがヒュッヒュッと動いた。離れたところで水面が揺れている。
▼しかし、目にするのは、アメンボ、アマガエル、みじんこ、糸ミミズ、ミズスマシ、タニシ、ガムシ、海老みたいな姿をしたものもいる。これは豊年エビ。ところどころでぷくぷくと泡を立ているが、これはオタマジャクシやドジョウ。跳ねたイナゴの幼虫は稲にしがみつき、成虫同様にすっと葉の裏に隠れる。その奥には、ヤゴもとまっている。
▼畔伝いに田んぼを廻ってみると、魚がいた。これがさきほどのヒュッと逃げた生物か。ドジョウじゃない、よく見てみるとメダカだ。群れで移動している。歌にあるような「みんなでおゆうぎしているよ」という雰囲気など皆無。常に天敵を意識した機敏な動きをしている。
▼メダカはどんな種類がいるのか調べてみると、メダカと云う和名は2013年に破棄されたという。日本海側に生息するメダカと南日本のメダカは、遺伝的に異なることが発見され、それぞれ「キタノメダカ」「ミナミメダカ」と区別された。それでも二種である。ここ山形は、キタノメダカの生息地。違いは尾びれ基底の斑紋の違い。次回、調べてみたい。
 それにしても有機物が豊富で農薬の類を一切入れていない水田には生きものが多いことに驚かされる。事実、隣の田んぼは密植で陽当たりが悪く、こんなに生きものがいない。