稲作だより,  土の声

満身創痍で 土の声 2016.09 No.127

▼今年の夏は気圧配置が異例でした。そのため、台風被害の少ない北海道に台風が4度も襲ったのです。8月17日に7号、21日に11号、23日に9号、31日にダメ押しのUターン台風10号。ハウス倒壊、河川氾濫、冠水など甚大な被害を及ぼし、いまだに収束していません。全有連の提携生産者はもちろん、被害にあわれた方の顔を見ると胸が締め付けられます。心よりお見舞いを申し上げます。
▼山形は全国ニュースで豪雨の様子がながれたものの、被害は一部で持ちこたえました。しかし、本来、台風といえば9月。数年に一度、ラフランスなどの落果、稲の倒伏を招く台風がやってきます。今年が異例であったのなら、9月の台風上陸がゼロという異例が起きてほしいのです。
▼というのも、今年で八五歳となった熊谷さんが満身創痍で「長寿米」作りに取り組んでいるのです。20年前の失明勧告を自分の無農薬米を胚芽米にして食べることで克服し、さらにうまい米作りを長年続けてきました。しかし、今年は発酵肥料作り中に、堆肥の熱で足が低温やけどを起こし、スコップ仕事で腕を酷使し、右手手首の骨が変形。米作りにかける想いが肉体の限界を上回ってしまう結果に。腕の神経を切る恐れがありならがも、ギブスをして追肥をやりきりました。
▼今年はとくに健康で長生きできると願をかけた米の収穫まであと一か月。「ここまでくれば大丈夫。やることをやったんだから意地でも収穫してみせるよ。」と熊谷さん。