稲作だより,  土の声

豪雨免れ無事収穫 土の声 2022.10 No.200

~豪雨免れ無事収穫~

▼日本では過去にない進路を取る台風や強力な梅雨前線、移動する線状降水帯が多発した。
7月15日には宮城県大崎市で記録的な豪雨となり、米や大豆などの四千ha以上の田畑が冠水。その3日後には長崎、福岡、佐賀、大分、山口で線状降水帯が次々に発生。8月に入ると、青森にかかっていた線状降水帯が、秋田、山形、新潟、福井と南下し、各地で河川氾濫や土砂崩れを招いた。
▼9月には台風11号が東シナ海から日本海を北上し九州に暴風被害を与え、17日には大型台風14号が九州に上陸。長時間居座り、収穫直前の稲が根元からなぎ倒され、ハウス野菜にも大きな被害を与えた。その翌週、25日には台風15号が発生し、愛知で線状降水帯、静岡では史上最雨量で停電や断水などを引き起こした。今年の夏は、全国の田畑で一面が湖のようになったり、土砂の流入被害被害が起きた。面積の大きい露地栽培のリスクは受け入れ難いものとなりつつある。
▼世界はもっと激しい。春にはオーストラリア、ブラジルの大洪水、夏は、ヨーロッパで大干ばつ、山火事が多発。インドでは過去最高気温に、中東では干ばつにより砂嵐が。アフリカでも過去最悪の干ばつ、中国では洪水が多発する一方で長江では深刻な干ばつに。パキスタンでは国土の三分の一が冠水し、現在、ハリケーン「イアン」がキューバ全土を停電にし、フロリダで五百年に一度の大洪水を引き起こしている。すべて食糧危機を招く要因となる。
▼今年は幸いにも当会の生産者は秋田、宮城、山形と全員が被害にあわずに平年作を見込めている。刈り取りの喜びを噛み締めつつ、止まることのない異常気象に対して生産基盤、備蓄、提携を強化してみなさまへの供給を守りたい。