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11月 NOVEMBER:霜月(しもつき)

季節の言葉
●立冬(りっとう)11月7日は二十四節気の一つ立冬に当たります。この日から暦の上では立春前日(節分の日)まで冬になります。この頃から冬の気配が現れてきて、北国や山々からは初雪の便りも届く時節です。朝夕もめっきりと寒くなり冬の北風も吹き始めます。同じ季語には「冬立つ」「冬に入る」「冬来る」があります。
●小春日和(こはるびより)11月の初冬は寒くなり冷たい北風が吹きますが、大陸高気圧が移動して風も弱まり、穏やかでまるで春のように暖かい晴天の日が訪れます。この日を小春日和と言います。秋の柔らかな日差しが心地良く感じられ、紅葉を見ながらの散歩やハイキングにはお勧めの天候です。ですが、夕方からは放射冷却が始まって、ぐんと冷え込み寒さが強まり日中の薄着では寒く感じれます。同じ季語で北米ではインデアン・サマ−があります。
●帰り花』秋の小春日和の暖かさに誘われて、季節はずれの花を付けることです。別名「返り花」とか「狂い咲き」とも言われます。春咲きのサクラなどが、秋の寒さから一時的な小春日和を春と思って勘違いして花を咲かせるものです。またモクレンやフジが成育が悪いものが小春に咲くケースもあります。
●小雪(しょうせつ)11月の22日は二十四節気の一つの小雪に当たります。立冬の後の15日目で、「小」は寒さはまだ厳しくなく、わずかながら雪が降り始めるようになる頃です。雪国からは雪便りが届き、東京周辺でも霜が見られ始めます。北風が吹いて冬の到来を実感させます。
●初霜(はつしも)霜とは空気中の水蒸気が、氷点下に下がるときに地面に凍りついて白い氷の結晶になったものです。柱状の結晶が土を持ち上げた霜柱を踏み締めるとサクサクと音がします。初霜の降る日は内陸部ほど早く、東京の平均は11月14日。鹿児島は11月26日です。しんしんと冷えて霜を置く音が聞こえそうな感じがするのが「霜の声」といい、その他に霜を「さわひめ」「青女(せいじょ)」と言う異称もあります。
●冬日和(ふゆびより)11月の小春日和の後にやってくる冬の晴れた日をこう呼んでいます。もともと日和(ひより)は、海の上での晴れた天気を指す言葉で、天候が悪い時には漁師などが港で日和待ちをしていました。
●冬薔薇(ふゆそうび)フユバラとも言います。寒牡丹、寒菊同様に冬に咲く品種ではなく、冬に入っても咲き残ったバラのことを言います。この季節にまだ見れる可憐な美しさは、人々の心を引きつけます。
●晩秋(ばんしゅう)』秋の終わりを実感できる季節を言います。朝晩だけではなく日中でも寒さを感じるほどで、木々の枯れ葉も散って落ち葉の時期になります。

11月のキーワード
【自然】 立冬、小雪、初雪、小春日和、時雨、初吹出し木枯らし、あられ、落葉、冬眠、野分け
【暮らし】 障子はり、ふすまの修理、ストーブの準備、こたつの点検、年賀はがきの購入、焚き火、七五三、夜なべ、火の用心、カーテンの掛け替え、本棚・戸棚・押入れの整理、コート・マフラー・手袋・ブーツの準備、冬服の用意、漬物づくり
【健康】 インフルエンザの予防接種、乾布まさつ、やけどの用心、食べ過ぎ・運動不足に注意、高血圧、足腰の冷え症、しもやけ、夜ふかし、気管支喘息
【花】 菊、サザンカ、サルビア、ヨメナ、ヤツデ、ツワブキ、テンジクボタン
【園芸】 球根の掘り下げ・乾燥・貯蔵(カンナ、ダリア、グラジオラス、グロキニシア)観葉植物の冬越し、部屋への持ち込み(ディフェンバキア、ペペロミア、ゴムノキ、ピレア、ドラセナ、ヤシ類、シダ類、)サザンカの庭植え・鉢植え、シクラメンの管理・買い方庭木の霜よけ、芝の止刈り、キクの観賞と手入れ、スズラン・福寿草・クレマチスの株分けと植え替え、サイネリア・プリムラの仕上げ鉢への定植、盆栽種蒔き
【季語】 立冬、初冬、初時雨、初霜、茶の花、柊の花、山茶花、冬紅葉、落葉、仲冬
【誕生石】 トパーズ(友愛)
【誕生花】 菊(高貴)、おもと(長寿)、山茶花(信頼)【【時候の挨拶】 晩秋、深秋、暮秋、向寒、落葉、小春日、初雪、夜寒、冷雨

11月の旬【魚】
【するめ烏賊】スルメイカは秋から冬にかけての産卵期が旬。冷凍技術の発達で、旬のものはほとんど味覚をそこなわず年中出回っているが、ワタだけは生と冷凍の差が出るため、塩辛などにするのなら、旬のものを使うとよい。
【沙魚 (はぜ)】天ぷらのたねとして人気の高いハゼの旬は、晩秋から初冬にかけてである。カルシウムを多く含み、佃煮や寒露煮にするとリンのカルシウムに対する比率がカルシウムを吸収しやすい割合となる。
【皮剥 (かわはぎ)】皮が厚く硬い魚なので、皮を剥いでから調理する。焼いても煮てもいいが、冬に獲れた旬ものの肝は絶品。身はフグのような味。
【すっぽん】スッポンは甲羅が柔らかく、皮や内臓も食べるので、ほとんど捨てるところがない。ビタミンB1、B2、カルシウム、鉄分を含む。生血は強精剤として好まれ、血行をよくして痔にも効果がある。旬は秋から春。
【きびなご】ウルメイワシの仲間で、体に青い筋の入った美しい小魚。秋から春先にかけてとれ、特に鹿児島の産物として有名。新鮮なものを刺身にし、芥子酢みそや生姜醤油で食べる。
【ほっけ】旬は冬(12月)。冷水を好む魚で、主産地は北海道から三陸、対馬以北の日本海側。北海道の開き干しは絶品。鮮度も味も急に落ちる魚なので、刺身で味わうには産地でないと無理。脂が多い割には味にくせがなく、色々な料理が楽しめる。
【鯉】コイは1年中あるけれど、寒い時期、コイの身が締まっておいしくなる。コイの洗いをわさび醤油や味噌醤油で食べるのが代表的だが、コイこくなども美味。
【伊勢海老】鮮度のよいのは活もので、野じめの5倍ほどの価格。イセエビは漁獲後、腐りが早いので活ものを食べること。活ものを刺身、鬼殻焼き、味噌汁の実にすると最高に美味。
【むつ】普通ムツと呼ぶのはムツ科のクロムツで、それ以外にハタ科のアカムツがいる。食べ頃は冬で、1月〜2月の脂ののった寒ムツは美味。身肉よりも卵巣(ムツコ)、雄の白子(シラコ)も旨い。新鮮なものは刺身にしてワサビ醤油、ゴマ風味で食べるとおいしいが、鮮度落ちが早いので、一般に煮魚にする。

11月の旬【野菜】
【セロリ】旬は11月〜5月頃。淡野菜ではあるが、気管支や肺の機能を高め、疲労回復を促す精力増強作用がある。カルシウム、ビタミンB1、B2、Cなどが多く、体内のエネルギー代謝をよくし、神経系の正常な働きを保つのに効果的に働く。
【ごぼう】旬は11月〜1月にかけて。ゴボウの旨みを味わうには、泥つきが一番。食物繊維を多く含み、成人病予防の強い味方。整腸作用があり、便秘の人に効果的、また、余分に摂取した動物性脂肪の吸収を妨げるので、動脈硬化の予防になるほか、繊維質が発ガン物質を体外に出す働きもある。
【椎茸】9月〜11月の秋と3月〜5月の春が旬。シイタケの旨み成分は、鰹節や昆布の旨味成分と合わせると相乗効果でおいしいだし汁がとれる。血中コレステロールを低下させるビタミンB2、日光にあたるとビタミンDに変わるエルゴステリンを含み、動脈硬化、脳溢血、狭心症などの現代病の予防に効果がある。
【蕪 (かぶ)】旬は晩秋から初冬にかけて。白カブも色カブも、寒さが厳しくなるにつれ色が鮮やかになり、甘みも増す。調理では煮足りないと青臭みが残り、煮崩れると味が落ちるので注意する。葉にはビタミンCやA、B1、B2、カロチンなどが含まれ、栄養価が高い。
【菊の花】黄ギクは初夏から初秋にかけて、紫ギクは晩秋から多く出回る。花びらを酢に落としたたっぷりの熱湯にくぐらせて、冷水にさらりと色が冴え甘みもグンと増す。ご飯や吸い物に散らしたり、和え物にして食卓に並べると華やかな食卓になる。
【銀杏】色といい、味といい上級品が手に入るのはイチョウの木が黄金色に粧う10月〜11月。比較的消化がよく、タンパク、脂質、ミネラル、ビタミンAなど栄養が豊富である。鬼皮つきのまま直火であぶって食べると、せきや痰、夜尿症に効く。
【えのき茸】人工栽培のものが年中出回っているが、どちらかといえば寒い季節のものがよい。旨み成分を多く含み鍋物に使うとおいしい。ビタミンB1、B2、ビタミンD効果をもつエルゴステリンを含む。冷凍保存は2日程度が限度で早目に調理したい。
【じゃがいも】冬物は11月〜翌年2月頃。新ジャガは5月〜6月が旬。ジャガイモは栄養価の高いアルカリ性食品。特にビタミンCはリンゴの約3倍で、1日に小玉2個摂取すれば必要量に達する。また、ジャガイモに含まれているビタミンCは、煮る、茹でる、炒める、揚げるなど熱を加えても損失しにくい。カリウムを多く含み、塩分をとりすぎると排泄する作用があり、塩分のとり過ぎを防ぐ働きがある。

11月の旬【果物】
【すだち】旬は8月〜12月、ハウスものは3月〜8月。スダチは刺身や焼き魚との相性がよく、またマツタケとは味を引き立てる名コンビといえる。
【金柑(きんかん)】
旬は冬から春先。食用と観賞用がある。キンカンは生でも食べるが、酸味が強いので砂糖漬けにしたりマーマレードやゼリーに加工して食べる。皮にはビタミンCやカルシウムが豊富で、煎じて風邪薬に用いる。また甘露煮はせき止めにも効くといわれている。