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5月 May:皐月(さつき)

季節の言葉
●八十八夜(はちじゅうはちや)5月2日は、八十八夜に当たります。これは立春の日から数えて八十八日目に当たり、農家ではこの頃になると霜の心配がなくなるので、種まきの目安としています。また一番茶を摘む時期で、この日から2〜3週間が最盛期となります。小学校の唱歌『茶摘み』には「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る」と歌われました。
●端午の節句(たんごのせっく)5月5日は『端午の節句』は,中国の烈士を弔った故事が起源とされ、男子の気概を養う日として平安朝以来、宮廷で5月に行われてきました。昔は5月の端(はじめ)の午(うま)の日に行われたので端午(たんご)と言っています。後に「五」と「午」が同音であることから、5月の5の日が厄祓いの日として定着するようになったそうです。
 また、この時期に咲くショウブには邪鬼を払う霊力があると信じられていたので「ショウブの節句」とも言われます。 男の子がいる家では、鯉幟を立てたり、初節句には武者人形や兜を贈る習慣になっています。また、お風呂にはショウブを入れたりします。このような習慣が広まったのは江戸時代。江戸幕府によって五節句のひとつとして定められ、武家社会に広まりました。
 さらに鯉幟の習慣は、江戸中期から登場。中国の黄河上流の難所をのぼった鯉が神通力を備えた出世魚という故事にならい、男の子の健康を願って立てました。最近では、都会では見られなくなったこの鯉幟ですが、日本の風物詩には欠かせないもののひとつかもしれません。
●立夏(りっか)二十四節気の一つで、5月6日は立夏に当たります。暦の上ではこの日から立秋の前日までが夏になります。またこの日から夏の気配が現れてきます。ですがこの頃の北海道では平均気温が10度以下の地域も多く、まだまだ肌寒い時期。東京でも平均値はおよそ18度で夏と呼ぶには早過ぎますが、この時期は1年中で紫外線が最も強い時期。8月上旬と同じ強い日差しで野外にいれば日焼けするほどです。
●風薫る(かぜかおる)森から吹く風には若葉の香りが含まれて、緑の香りを運ぶと見立てたのが風薫るです。昔から4月の風は光り、5月の風は薫るともいいます。同じ言葉に薫風(くんぷう)、風の香(かぜのか)があります。
●小満(しょうまん)立夏から数えて15日目。5月21日は小満に当たります。万物が次第に長じて満つる、と言う意味であらゆる草木が成長して生い茂る時期です。農家では田植えの準備にお追われる頃で、やや汗ばむような陽気です。西日本では本格的な梅雨を感じさせる走り梅雨のシーズンでもあります。
◆初夏(しょか)夏を初夏、仲夏、晩夏に分けて最初の期間で、立夏(5月5日)から芒種(6月5日)までの夏の始めを指す言葉です。梅雨に入る前の穏やかな時期で、風も心地よく感じます。
●薄暑(はくしょ)夏の最初は、やがて来る梅雨までの穏やかな時期が初夏ですが、この時期に少し暑さをおぼえる程度の陽気を薄暑と言います。「薄い」暑さとは、独特の表現ですが本格的な夏の前ぶれのような暑さにも感じられます。
●走り梅雨(つゆ)梅雨入りする前の5月の末に現れる梅雨に似た雨のことで、そのまま梅雨入りしてしまうこともありますが、再び晴れて、それ以後に梅雨入りになります。「走り」は魚など食べ物などに用いられるように、初物、はしりものを表す言葉の意味になります。
●青嵐(あおあらし)初夏の青葉を揺らしながら吹き渡る強い南風のことをいいます。同じ言葉に風青し(かぜあおし)や青嵐(せいらん)などがあります。
●青葉雨(あおばあめ)木々の青葉や若葉がひときわ美しい季節に葉をぬらして降る雨。雨の後にはぬれた木々の葉は爽やかさが薫ります。
◆新樹(しんじゅ)新緑の若葉に覆われた木ですが、初夏の日差しを受けて木の葉の緑の輝きが、今までの木とは思えないほどの美しい印象のことです。

5月のキーワード
【自然】 八十八夜、立夏、新緑、若葉、五月晴れ、新茶、赤潮、アリ、蝿、ホトトギス
【暮らし】ゴールデンウィーク、五月人形をしまう、野鳥の観察、庭の雑草の除去、端午の節句、鯉のぼり、ゴキブリ退治、ノミの発生、五月病、結婚シーズン、自動車税の納付、濡れた傘や靴の手入れ、春の遠足、運動会、埃に注意、田植え
【健康】 湿疹、脚気、イライラ、不眠症、洗顔、かぶれ
【花】 ふじ、撫子(なでしこ)、ひなげし、せきちく、牡丹、ツツジ、しゃくやく、きんせんか、あやめ、ライラック、アカシヤ、バラ、カーネーション
【園芸】 朝顔、ケイトウ、コスモスの種蒔き、チューリップやスイセンの球根掘り起こし、遅まき草花の種蒔き、菊のさし芽、温室ものの室出し、ナス・キュウリ・ピーマン・トマトなどを植える、果実の袋かけ、芝生の除草や手入れ、田植え
【季語】 立夏、初夏、薄暑、麦の秋、風薫る、牡丹、新緑、若葉、桐の花、薔薇、卯の花、新茶、夏めく、夏浅し
【誕生石】エメラルド(幸運)
【誕生花】すずらん(純愛)、けし(もろい愛)、紅バラ(愛)
【時候の挨拶】晩春、惜春、向暑、薫風、若葉、新緑、藤の花、初夏、五月雨、八十八夜葉ざくら、鯉のぼり、新茶の香り

5月の旬【魚】
【とびうお】旬は産卵のため、日本海を北上する春から夏にかけて。トビウオは筋肉質で脂肪が少なく、高タンパクな魚で味は淡白。しっかりと下味を付けるか、濃いめの味付けの料理に仕上げるのがおいしく食べるコツ。
【きす】旬は5月〜6月。アオギス、シロギスの2種類に大別でき、後者の方が美味。三枚におろして刺身にしたり、酢の物、塩焼き、すし種、汁の実にするとおいしい。白身の身肉は淡白な味で、脂肪が少なく、タンパク質や鉄分が豊富に含まれている。
【しゃこ】1年中出回っているが、旬は春から夏。身肉がたっぷりして卵も詰まって旨いが、6、7月の産卵期は味が落ちる。すし種、味噌和え、天ぷらの他、具足煮、ワサビ醤油をつけてといった食べ方がある。傷みやすいため、買ったらすぐに茹でる。
【山女魚】ヤマメは山奥の清流に住む魚で、天然物の旬は解禁日以降の3月〜4月。香りは薄いが、淡白な味は川魚でもトップクラスで、塩焼き、煮付け、寒露煮などにする。市場に出回るのはほとんどが養殖ヤマメ。
【まいか】春から夏が旬。石灰質の甲を持ち、肉の厚いマイカは刺身に最適。新鮮なものほど体色が濃い。
【いしもち】晩春から夏にかけての魚で、産卵期の5月が一番味がよい。卵だけ煮付けたりもする。身は淡白で柔らかいので、濃い目に煮付けたり、空揚げ、揚げ煮などがよく合う。
【かれい】カレイの旬は種類によって異なり、1年中食べられる。マコガレイ、イシガレイは初夏。マガレイは秋から冬、ヤナギムシカレイは春。カレイの逸品、城下ガレイは4月〜8月がおいしい。カレイは脂肪が少なくあっさりした淡白な味で、タンパク質を多く含む。また、歯、骨、血液、筋などの重要な構成成分であるリンを多量に含んでいる。
【きびなご】鹿児島、天草の名産。最近では関東や関西でも需要が増えたため、貴重品となっている。食べ頃は4月〜8月の産卵期のもの。とれたてを手開きにし、刺身で食べるとおいしい。
【いさき】クセのない淡白な味だが、磯魚特有の臭みがあり、鮮度が落ちやすい。5〜6月の産卵期のものは「麦わらいさき」と呼ばれ、脂がのって最も味が良い。大ぶりで新鮮なものは刺身やあらい、小ぶりのものは塩焼きや煮付けにする。

5月の旬【野菜】
【さやえんどう】旬は春から初夏で、この頃ビタミンCの含有量がピークになる。絹さやが最もポピュラー。バター炒め、煮物、吸い物に最適で、料理に彩りを添える。さやがピンと張っているのは新鮮な証拠。塩を入れ、蓋をとった状態で1〜2分茹でると、緑が鮮やかにでる。
【そらまめ】路地物は5月〜6月が中心。「ソラマメのおいしいのは3日間」といわれるほど味のよい時期の短い素材で、購入したらなるべく日をおかずに早いうちに使いきってしまうのがよい。茹でる時は、直前にさやから出し、豆の爪の黒い節を包丁で先に取っておくとやわらかく茹であがる。
【玉葱】品種が多く保存性がよいので1年中あるが、6月〜7月が旬。春の新タマネギは早目に収穫したもので、辛みが少なくて柔らかいが、水分が多いので日持ちしない。
【韮 (にら)】年中出回るが青ニラは早春が葉が薄くやわらかで美味。ビタミンA、B2が特に多く含まれており、ビタミンB1、C、カルシウムも多く含む。独特の匂いは、硫化アリルによるもので、胃や腸の粘膜を刺激して消化を助ける働きがある。
【ごぼう】旬は春と秋だが、5月〜6月に出回る秋まきのごぼうは風味がよい。あまり太いものはスが入っている場合があるので、土付きの中太でまっすぐ伸びたものを選ぶとよい。切ったらすぐに酢水か水につけると変色しない。鍋物、きんぴら、煮しめに欠かせない存在で、最近ではダイエット食として注目されている。
【ちんげん菜】4月頃から路地栽培物が店頭に出る。1月〜3月のものはハウス栽培物。チンゲンサイはビタミンC、カロチン、カルシウム、鉄分を多く含んでいる。炒めたり、茹でたりする時は、葉より茎の方から先に火を通すと、まんべんなく火が通ってよい。

5月の旬【果物】
【苺】路地物は5月が旬。人気のある品種は、「女峰」と「とよのか」。ビタミンCの含有量は果実の中でも1、2を争うトップクラス。ビタミンCには血管壁に沈着するコレステロールを溶かし、内臓機能を助ける働きがある。また、新陳代謝を活発にするため疲労回復や美容にも効果がある。
【枇杷(びわ)】旬は5月〜6月にかけて。ビワは皮をむくとすぐに褐変してしまうので、食べる直前にむくか、むいてしばらく置く場合、少しの間水につければよい。カロチンが豊富でビタミンA効力が高い。
【夏みかん】春から初夏にかけてが旬。出回る時期は夏ミカン・日向夏が5月〜6月で、甘夏が4月〜5月。成分構成は温州ミカンとほぼ同じだが、酸味が強い。サラダに散らすと甘酸っぱさが加わりおいしくなってよい。【メロン】メロンは果物の王様といわれているが、なかでもマスクメロンは気品高い甘みもあり美味。多品種で、日本ではプリンスメロンが名高い。メロンは多湿を嫌うため、日本では温室栽培がほとんど。1年を通じて出回るが、最もおいしい時期は春先。