6月 JUNE:水無月(みなづき)
季節の言葉
●芒種(ぼうしゅ)二十四節気の一つで、6月6日は芒種にあたります。この時期になると芒(針状の突起)がある穀物の種をまく時期になります。主に稲などの種のことを言いますが、農家では田植えの時期になり、四国、中国や近畿地方の西日本では梅雨入りの頃になります。
●入梅(にゅうばい)6月11日は入梅にあたります。この日は立春から数えて127日目です。この日から暦の上では梅雨入りになりますが、これは農家での農作業の目安にもなります。この日から30日間が梅雨期となりますが、実際は地域で梅雨入りが異なります。
●夏至(げし)二十四節気の一つで、6月21日は夏至にあたります。太陽の日没が最も北に寄り、北回帰線の真上までやってきて1年中で昼間が一番長い日です。東京での昼間の長さが冬至に比べると、4時間50分も長くなります。ですが、梅雨の最中なので雨や曇りの日が多く、それほど長くは感じないかもしれません。農家ではこの日から11日目の『半夏生(はんげしょう)』までに田植えを終えることになります。
●梅雨(つゆ)暦の上では梅雨は6月11日頃から約30日間を呼びます。この梅雨の語源は色々あります。湿気で腐ることから潰(ついゆ)と言う説や中国からきたもので梅の実がみのるころの雨というもの。さらに「ツユ」と読むのは「露」の連想だともいいます。また、地域によって梅雨の呼び名も異なり、九州では梅雨の時期を「ながし」と呼び石垣島では「ユドュン」と言います。
●仲夏(ちゅうか)夏を三季に分けて初夏、仲夏、晩夏とした時の中間の仲夏。初夏の植物の勢いも熟し、梅雨の真っ盛りで盛夏の感じが希薄でもあります。
●五月晴れ(さつきばれ)陰暦5月の梅雨どきの晴れ間をいいます。ですから今の暦の6月から7月にかけての梅雨の晴れ間を指しますが、最近では初夏の陽暦の風香る五月でも言う人が増えています。似た言葉に、梅雨のうっとうしい雲を五月雲、(さつきぐも)梅雨の厚い雲に覆われて昼なお暗いことを五月闇(さつきやみ)といいます。
◆五月雨(さみだれ)陰暦の5月、入梅どきの長雨で「梅雨」と同義です。昔の人たちは五月雨と言っていました。芭蕉の句で奥の細道での「五月雨をあつめて早し最上川」が、あります。
◆真夏日(まなつび)』日中の最高気温が30度以上の日を真夏日という。これは真夏の暑さを気候統計的に比較するために生まれた定義。逆に日中の最行気温が0度未満の日は真冬日という。
●『季節の生き物 かたつむり』渦巻き形の殻によく動く2本の角など、動作には愛嬌があり、子供たちに昔から親しまれてきたカタツムリ。意外ですが、1年中いて、冬には体を殻の中に入れて薄い膜を張って眠っています。雨の後や夜間に活動したりしますが、1年でも一番出会えるのがこの梅雨どき。晴れていても葉の裏側などに隠れています。
●『季節の生き物 アマガエル』都会ではほとんど見られなくなったのが、このアマガエル。雨が近づくと盛んに鳴くのでアマガエルといわれています。姿や色のよく似たアオガエルとは別の種類。普通のカエルよりもやや小さく、木の枝や葉に止まっており池や沼地などにいます。背中の緑色が鮮やかでまるでペンキ塗りたての感じです。
●梅雨の言葉
梅雨籠(つゆごもり)梅雨の時期に毎日長雨で、外へ出られず家の中に籠ること。梅雨寒(つゆさむ)、梅雨冷(つゆびえ)梅雨の長雨で肌寒さを覚えること。梅雨雲(つゆぐもり)雨が降り出しそうにどんよりとたれこめ、昼間でも薄暗い曇り空。
青梅雨(あおつゆ)新緑の青葉をぬらして降る梅雨。送り梅雨(おくりつゆ)梅雨明けのころに降る強い雨。梅雨を送り出すように勢いがあるという意味。
梅雨豪雨(つゆごうう)梅雨の時期に降る大雨のこと。梅雨雷(つゆかみなり)梅雨明けのころに鳴る雷で、一般にこの時期に雷が鳴ると梅雨明けが近いといいます。実際に梅雨明け近くになると雷の発生が多くなります。
梅雨長し(つゆながし)梅雨明けの時期でもなかなか明けないこと。梅雨闇(つゆやみ)梅雨の時期の夜は、厚い雲におおわれて闇がとくに深く感じられること。
走り梅雨(はしりづゆ)迎え梅雨(むかえづゆ)本格的な梅雨入りの前に現れる梅雨に似た雨。
空梅雨(からつゆ)梅雨の季節なのに雨がほとんどふらないこと。
■『雨のことわざ』
●「雨晴れて笠をわすれる」苦難の出来事が過ぎると、人はその時に感じた教訓や感謝の気持ちを忘れてしまう。
●「雨に濡れて露おそろしからず」大きな災難を経験した人は、少々の困難にはくじけない。
●「雨降って地固まる」埋めた地面が雨にあうと固まるように、もめごとの後に理解が深まったりして、悪い事態が好転すること。
●「雨上がりのやかん照り」雨があがったら、天候が急激に変わってカンカン照りになること
■『夏の風の言葉』
●薫風(くんぷう)初夏に吹く南の風。青葉の間を吹き抜けていく爽やかな風●黒南風(くろはえ)雨雲が広がる梅雨どきに吹くやわらかな南風●乾風(かんぷう)さらっと乾いた夏の風●炎風(えんぷう)暑い日が続き、日照りなった大地に吹く熱い風●青嵐(あおあらし)青葉を揺らしながら吹く強い南の風●熱風(ねっぷう)熱い風でフェーン現象などによってもたらされる●夏嵐(なつあらし)雷雨や台風が接近して吹く強い風のこと●涼風(すすかぜ)晩夏に吹く涼しい風。夏の終わりを感じさせる
6月のキーワード
【健康】 虫歯の予防・治療、みずむし・たむし、食中毒、湿疹、夏かぜ、自律神経失調症、子供の消化器系病気予防、リュウマチ、ノイローゼ
【花】 花しょうぶ、アジサイ、なんてん、みずばしょう、ひなげし、せんだん、てっぽうゆり、くろゆり、すいれん、アイリス、松葉ぼたん、しなのきんばい
【園芸】 観葉植物やラン類の遮光、室内園芸の日常管理、ベゴニアの交配、さし木とさし芽の適期、竹の植え替え、病害虫の駆除、アヤメ類の株分け
【季語】 梅雨、南風、五月雨、夏風、夏の川、夏野、万緑、かきつばた、栗の花、紫陽花、青梅、鮎、蝸牛、梅雨の星、青梅雨
【誕生石】 真珠(長寿、富)
【誕生花】 あざみ(触れないで)、あじさい(移り気)、姫ゆり(変わらぬ愛らしさ)
【時候のあいさつ】初夏、春秋、梅雨、入梅、梅雨空、梅雨晴れ、長雨、田植え短夜、さみだれ
6月の旬【魚】
【鮎】清流の女王アユは、天然物で味がのってくるのは7〜8月、養殖物は4月から。アユの味わいはその香りで、香魚とも呼ばれ、殊に腹ワタの香りとほろ苦さが魅力。その香りは水苔を食べることによるが、川によって水苔の種類も変わるので、アユの味も生息する川によって異なってくる。
【鰹】旬は初夏から初秋。初ガツオは5月上旬房総沖にくる。表面を少しあぶってタタキにし、ニンニクのスライスやネギを薬味にすると美味。市場には近海ものと南洋ものが出回り、出回りが遅れる南洋ものは味が落ちる。鮮度の落ちたものは刺身にせず、煮たり、焼いたりするのが無難。
【鰺】旬は春から夏。種類が多く、一般に口にするのが大衆魚のマアジ。塩焼き、たたき、フライにするが、獲れたてをせごしにして酢みそで食べるのは通。ムロアジはクサヤにする。シマアジは最高級魚ですし種、刺身にすると甘みが口の中でふわっとする。 【鰌(どじょう)】旬は卵を持ち、脂ものってくる夏。夏バテには格好のスタミナ源で、ウナギと比較してビタミンB2、D、カルシウムや鉄分を多く含み、特にカルシウムの含有量はウナギの10倍近い。
6月の旬【野菜】
【アスパラガス】年間を通して出回っているが、最盛期は5月〜6月。アスパラギンを多量に含んでいるため、他のアミノ酸の代謝とタンパク質の合成に重要な働きをする。芽の部分にはビタミンEが多く含まれ、ビタミンAやC、鉄なども含んでいる。ビタミンA・C・Eは、一緒にとることで抗腫瘍作用が期待できる。
【じゃがいも】旬は夏。丸く大型の男爵、紡錘形のメークインが代表的種類。和洋中すべての料理に欠かせない重要な野菜。ホクホクにゆだったジャガイモにバターをつけて食べるのが美味。ビタミンCが多く、低カロリー食品でもある。芽には有毒物質が含まれているため必ずとる。
【たで】栽培種の青タデと野生種の赤タデがある。いずれも特有の香気と辛みがあり、双葉の頃から刺身のつまなどに用いる。青タデの若葉をすって酢と合わせたタデ酢は、鮎の塩焼きにつきもの。
【らっきょう】ユリ科の野菜で、主な種類は一般的なラクダと、両端を切り取って花ラッキョウにも用いる八つ房。塩漬けにしておき、食べる直前に酢漬けにすると保存がきく。もともとは薬用に使われ、やけど、風邪、水虫などに効用があり、漢方に用いられる。粒が揃って、かたく締まったものが良質。
【ししとうがらし】青唐辛子ともいう。味のよいしっかりとした路地物は初夏から秋口までが旬。へたを切らず、中央部に縦に包丁目を入れ、そこから種を抜いて使うと見映えがよい。
【紫蘇(しそ)】シソの葉の旬は7月〜9月。ビタミン類、無機質ともに多く、特にカロチンとカルシウムの含有量が高い。シソが持つ独特の香りは強い防腐力を持ち、刺し身のつまに用いると魚の生臭みを取り、防菌性を利用して食中毒を防ぐ。
【さやいんげん】生育が早く、年に3回も収穫できることから、関西では三度豆と呼ぶ。早生のツルナシ、細くて短いキヌガサ、太くて長いドジョウインゲンが主要品種。いずれも青くさみが強いので、塩茹でして用いる。
【南瓜(かぼちゃ)】冬至に南瓜を食べる習慣のせいか、冬野菜と思われがちだが、旬は6月〜9月。カロチン、ビタミンA、B1、B2、Cが含まれ、ビタミンの宝庫。ビタミンAは青菜類に劣らない効力を持っている。ビタミンAは、目の粘膜の正常な働きを保ち、病原菌への粘膜の抵抗力をつける働きがある。
6月の旬【果物】
【さくらんぼ】ピークは6月、早生の「日の出」、中生の「高砂」と続いて「佐藤錦」は、6月の中旬から下旬が最盛期。このあと晩生種の「ナポレオン」、北海道の「水門」となる。カリフォルニア産の「アメリカンチェリー」は5月〜6月が旬。日本で人気が高いのは「佐藤錦」と「ナポレオン」でカリフォルニア産の「アメリカンチェリー」も濃厚な甘みで好評である。
【プラム】スモモと同じ仲間で品種は数多い。皮が深紅色に熟して柔らかいのは、果汁が多くて甘く、皮が緑色でかたいものは酸味のあるしゃきしゃきした歯ざわりが楽しみ。かためのうちに果実酒にするとさっぱりした風味に仕上がる。
【梅】5月下旬から出始め、6月に多く出回る。生食はせずに加工して使われるが、家庭で用いられるのは、梅酒の原料として用いる割合が高い。梅酒は暑気あたり、水あたりに効果がある。 |
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