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4月 April:卯月(うづき)

季節の言葉
●菜種梅雨(なたねづゆ)
3月末から4月にかけて、菜の花が咲く季節に降る雨のことです。ちょっと梅雨に似た現象で大陸の移動性高気圧が日本列島の北側に寄って進むと列島に前線ができ、停滞してできる長雨のことをさします。古くは花を催す雨『催花雨(さいかう)』とも言われてきました。かっては俳人など限られた人が使った専門用語だった菜種梅雨は、今では多くの人に使われています。
●花曇(はなぐもり)
桜の花の季節は、天候が不順で晴れていてもすぐに曇ってしまうことがあります。またどんよりも曇っていてもあたたかい気候になることもあります。このような桜の時期の曇り方をいいます。
●花冷(はなびえ)
桜の時期は陽気が変わりやすく、花見をしているとふいに思わぬ寒さになります。これが花冷です。とくに京都の桜の時期の底冷えが有名です。
●花の雨(はなのあめ)
サクラの花が咲くころに降る雨のことですが、咲き誇るサクラの花に降りかかる雨のこともいいます。この時期には決まって雨が降り、うすら寒い思いをします。サクラが雨に濡れる姿を見ると晴れた日にはないゆかしさや風情を感じさせてくれます。この雨によって散る桜の姿を惜しむ人も多いようです。また、桜の花が散るようすを雨に見立てて言う場合もあり、同じ言葉に『桜雨』があります。
●清明(せいめい)
二十四節気の一つで、4月5日は清明に当たります。この時期には草や木が芽を吹き始め、その種類が何か明らかになってくる日です。関東から西はサクラも満開になり、小鳥もさえずり始めます。また南の国ではツバメの飛来も見られる頃です。この清明は、清浄明潔(せいじょうめいけつ)の略で万物が清明(清く、明らかなこと)になると考えられていました。
●残花(ざんか)
桜の満開の時期が過ぎて終わった後でも散り残った桜のことで「名残(なごり)の花」「残る花」とも言います。花見の時期が終ったと思う頃に出会う桜は、いかにもなごりの花と言えます。この言葉に似たもので『花(よか)』や『遅桜(おそざくら)』などもありますが、これらは散った後に遅れて咲く桜のことです。
●花筏(はないかだ)
最近は見かけなくなったのがいかだの川下り。川に散った桜の花びらが水面に浮かびながら吹き寄せられ、そのままいかだのように流れていく姿をいいます。この時期には川や用水路に帯びを作りながら永遠と続く花びらの流れは、満開の華やかさとは別にはかなさを感じさせます。
●殻雨(こくう)
二十四節気の一つで、4月20日は殻雨に当たります。この日は、百殻を潤す春のあたたかい雨が降り、穀類の芽が伸びてくる日です。この頃になるとフジ、ボタンの花も咲き始め、野菜も芽吹きから葉を育てる時期にかかっています。そして約2週間後には「立夏」を迎えて暦の上では季節は夏になります。
●行く春(ゆくはる)
まさに終わろうとする春。同じ言葉に「春の果て」「春送る」「春のかたみ」などがあります。季節を動いて行くものとしてとらえ、サクラの華やかさや帰っていく鳥など、春のあわただしさが終わると同時に去ってしまうことを惜しむ心を込めています。

4月のキーワード
【自然】 水ぬるむ春、花曇、花冷え、雪解け、流氷離岸、春塵、蜃気楼、晩霜、穀雨、暖かい雨、モンシロチョウ、アゲハチョウ、蜜蜂、ツバメ、ソメイヨシノ、お玉杓子、雉(きじ)
【暮らし】新年度、入学式、暖房器具をしまう、冬用寝具の始末、冬服のクリーニング、和服の手入れ、障子の張り替え、お花見、花まつり、大型連休の計画、春休み
【健康】ジフテリア、食中毒、百日咳、扁桃腺炎、目の病気(トラコーマなど)皮膚の手入れ、ぜんそく、花粉症
【花】 れんげ草、杜若(かきつばた)、李(すもも)の花、山吹(やまぶき)、八重桜、チューリップ、パンジー、デージー、ヒヤシンス、クロッカス、岩桜、桜草、カラスノエンドウ、梨、杏、巴旦杏(はたんきょう)の花
【園芸】薬剤の散布、宿根草株分け、観葉植物の株分と鉢替、植え込み、バラ新苗の植え付け、生垣作り、椿やツツジの挿し木、春蒔き苗の移植、スイレンの株分け、家庭菜園でトマトを栽培、春植え球根
【季語】 暮春、春の昼、春の月、春の星、春風、桃の花、遅桜、芳草、藤の花 馬酔木(あしび)、葱坊主、春の宵、日永、蛙の目借時
【誕生石】 ダイヤモンド(無垢)
【誕生花】 桜草(希望)、ソメイヨシノ(美人)、ライラック(若き日の思い出)
【時候の挨拶】春暖、陽春、永日、春日、春眠、春雷、花曇り、温暖、花祭り、春風駘蕩、朧月、花冷え

4月の旬【魚】
【蛍烏賊(ほたるいか)】年中見かける他のイカ類とは違い、店頭に並ぶのは3月後半〜6月半ばまでの一時期。内臓には旨み成分の一つであるアミノ酸が多く含まれているため、腹ワタごとを味わうとおいしい。また、内臓はビタミンAが豊富である。
【鮎並(あいなめ)】年中出回っているが、旬は春から初夏。白身でありながら脂身が多いが、料理次第であっさりと仕上がりおいしい。
【にしん】旬は春先。この時期のニシンは脂肪が多く、他の魚と比べても非常にカロリーが高く、ビタミンも豊富となり、栄養価が上がる。カズノコにはタンパク質が多く含まれており、他にリン、鉄分、ビタミンB1、ビタミンB2が豊富である。
【もろこ】近畿地方に多い淡水魚の小魚。琵琶湖産は本モロコと呼んで珍重される。卵をもった春の物がおいしく、丸ごと煮浸しや甘露煮、フライなどにする。
【鯖】サバは周年出回っているが、産卵期の4月〜6月に獲れる春サバは、脂がのって秋サバ同様に旨い。鮮度が高いのが肝心で、この季節なら締めサバにして刺身や棒ずし、酢の物、和え物にするとさっぱりして食べやすい。
【鳥貝】旬は3月〜4月。関西方面のすし種として欠かせない。あっさりしていて、刺身、酢の物に適している。
【桜鯛】サクラダイは美称で本名はマダイ。くせがなく、甘美で、淡泊。旬の分かりにくい魚だが、春の産卵期を迎え、深みから浅いところへ移動した時が食べ頃。
【めばる】体色によって赤メバル、黒メバル、黄メバルがあるが、赤メバルが一般的で味も一番よい。皮の赤身が濃いほど新鮮で、古くなると色があせてくる。旬は春から夏。

4月の旬【野菜】
【菜の花】蕾がかたくて、葉が黄ばんでいないものを選ぶ。店頭でしおれているように見えても、水に浸すとピンとする。かたい茎を除いてから茹(ゆ)で、和え物や炒め物、汁物などに。
【蕗 (ふき)】フキ特有の香り、緑の色が充実する3月〜5月が旬となる。フキノトウの旬は3月早春で、タンパク質やカリウム、リンを含む。フキ独特の香りとほろ苦さが、食欲を増進させる。それだけでなく、食物繊維が多いので、腸の働きをよくする効能がある。
【蕨 (わらび)】旬は3月〜5月頃。アクが強いので、アク抜きしてから食用にする。ビタミンB1分解酵素を含んでいるので、灰または重曹をかけて熱湯を注ぐ。更に落とし蓋をし、冷めたらよく水洗いをしてサッと茹で、アクを抜くと酵素作用が失われてよい。
【筍】最盛期は3月半ば〜5月上旬。食物繊維を多く含み、カロリーが低いのでダイエット食向き。ワカメと相性が良く、味だけでなく栄養面でも腸の働きをよくする効能がある。
【人参】春から初夏にかけて柔らかくて甘みのある新ニンジンが出る。葉の付いた葉ニンジンは、葉も柔らかく栄養価が高いので、炒め煮やかき揚げなどに活用するとよい。
【ぜんまい】旬は春。山菜の王者だが、生ものは手に入りにくい。市場に出回っているものは、採取したものを乾燥させたもの。灰アクで茹でて乾燥させたものを赤干し、茹でずに乾燥させたものを青干しという。市販品は大半が赤干し。生ものはアクを抜いてから調理する。
【たらの芽】タラの木の若芽のこと。春の代表的な山菜の一つ。自生ものが旨いが、市場に出回っているのはほとんどがハウス栽培。旬は3月〜5月。独特の香味があり、天ぷらで最もいきる。焼いて味噌をつけて食べても美味。
【セロリ】セロリの強い芳香を嫌う人もいるが、その臭いは肉の臭みを消すのに最適。肉を煮込んだり、スープやビネガーの香料として利用されている。1年中出回っているが、ハウスものは1月〜4月が旬。しおれたら氷水を入れたコップに立てておくと生き生きしてくる。
【グリーンピース】1年中出回っているが、旬は春から初夏。西洋、中国料理に多く使われ、ビタミンB2、Cの他、デンプン、タンパク質も多く含んでいる。脇役の食べ物だが、料理の彩りを調えるのに貴重な存在。小粒が人気である。
【根三つ葉】年中出回っているが、路地の物が出る春が香りが強く、味もよい。切り三つ葉よりも根三つ葉の方が栄養価が高く、カロチンやビタミンAは20倍近く多い。

4の旬【果物】
【ぶんたん】【ザボン】2月〜4月が旬。いろいろな種類があるが、業界では果肉が赤紫系の物をザボン、淡黄色系のものをブンタンとして区別している。淡白な独特の風味は、食べなれると味わい深い。皮が非常に厚いので、砂糖漬けに利用される。
【ネーブル】果汁にビタミンC、ミネラルが豊富に含まれている。皮をむかず、短冊切りにすると食べやすく、また、独特の香りがする。
【イチゴ】ぶつぶつがはっきりしていて、へたの色が濃いものをえらぶ。ビタミンCを豊富にふくみ、疲労回復によい。ビタミンCをにがさないよう、へたは洗ったあとに取る。
【夏みかん】春から初夏にかけてが旬。酸味が強い。サラダに散らすと甘酸っぱさが加わってよい。