玄米に含まれるフィチン酸(IP6)やアブシジン酸(ABA)って人体に毒、害、危険なの?

※これは2016年のブログ記事を再編集し掲載しています。

玄米のなにが問題となっている?

玄米の健康効果を確認しようとネットで検索すると・・・フィチン酸やアブシジン酸が危険という情報がヒットします。せっかく玄米をたべようと思っているのに、、、(それから7年が経っている今でも、、、)

例えば
①「フィチン酸」が亜鉛や鉄、カルシウムなどのミネラルを吸着して排出してしまい、ミネラル不足になる
②発芽を抑制する「アブシジン酸」がお腹を壊すとか、ミトコンドリアを攻撃するなどの情報

多くのサイトで有害だ、有毒だ、危険だと書かれています。

ただし、どれも「玄米」ではなく、玄米に含まれるたった一つの成分に対しての考察です。

①は、これは人による実験では確認できず、フィチンはとても有効な成分と評価されている

②は、ヒト由来顆粒球を使ったシャーレ上の実験のみ

 

心配はもっとほかのところにあるのでは?

そんな心配をしたところで、江戸時代や戦時中に、「白米」を食べたら脚気になって「死者」も出たくらいです(食事の質があがった今ではそんなことはないですが)。白米を玄米にしたら脚気が治るくらい、玄米の栄養は著しい栄養不足を解消できるものなのです。永平寺では白米粥が中心で、脚気になる修行者が多く、昭和61年に玄米粥に変更しているほど。

国の専門機関にも質問しましたが、有害である回答や情報は確認できませんでした。

「食品には様々な成分が含まれており、それぞれが人体でどのような働きをするのかは完全にはわかっていません。玄米は食物繊維の摂取源として優秀であるというようなメリットもあり、日常の食事の一部に玄米食を取り入れることは、現時点では問題がないと思われます。ただし、玄米に限らず、ひとつの食品ばかりを摂取し続けることは特定の成分の過剰摂取や必要な栄養素の不足に繋がりますので、注意が必要です。(国立の研究所より)」

玄米にほんのわずかに含まれるたった二つの成分だけで人間の機能を落とすことはあるのでしょうか。玄米の浸水時間や、玄米をよく噛んで食べたときにどうなったのか、どう吸収されるかは検証されていません。

 

フィチン酸やアブシジン酸ってなんで存在するの?


農業の現場にいるものからすると、そもそも、フィチン酸は、発芽後に必要なリンを溜め込んだ物質であり、アブシジン酸は、発芽抑制物質であることを知っています。

これらが水に浸水されてもその機能が維持されていることは種として許されない、つまり、玄米は水に浸してから食べるので、そのときの状態では変化していないとおかしいのです。

実際に、発芽がはじまると、アブシジン酸はファゼイン酸とジヒドロファゼイン酸に、フィチン酸はイノシトールに変化することがわかっています。ちなみに、水稲種子は「15分の浸水で発芽準備」がはじまることがわかっています。

玄米を推奨し、長寿な人も多い


健康のために多くの方が玄米を食べて(辰巳芳子さんや東城百合子さんも長寿)、体の調子がよく、おいしいと感じていること(保育園で玄米食を取り入れているところもありますね)は事実でもあります。

しかも、危険な食べものだとしたら、大手炊飯器メーカーの標準な機種に「玄米モード」はついていないはず。

もう一つはこの心配よりも、あなたの今の食事がバランスのよい食事ができているか、いないかのほうを気にするべきです。玄米と一緒に食べるもの(食べたくなるもの)は、一汁三菜に近く、不健康な食事とはかけ離れているはずです(そうなっていきます)。

玄米を食べることのデメリットがあるとしたら、噛む力や消化力が落ちているときに玄米を食べることや、健康不安を気にしながら玄米を食べることではないでしょうか。

 

人間は自然のなかで生まれ、自然のなかで進化をしてきました。

別の角度から考えてみると、人間が歴史のなかで、玄米やフィチン酸、アブシジン酸を含む多くの食物を食べていて、その物質に対して何の抵抗力もなく進化することは考えにくいと思います。危険度の度合いからすれば、呼吸をするだけ、紫外線を浴びただけで発生する活性酸素、放射能のほうが上になります。それらもすべて織り込み済みで人間は対応し、そして進化してきました。

進化の過程でなかったものが突然出てきたのは、現在の化学物質なのではないでしょうか(食物アレルギーは自然の摂理の逆の現象だと思います)。たとえば小麦によるセリアック病、小麦アレルギーなど。また、医者がが出している薬、ロキソニンなどの市販薬での副作用や重篤な後遺症になっていることもありますね。

 

まとめ

さいごに科学的に発芽に関するこの毒だと云われている物質が発芽のスイッチが入るとどうなるのか説明します。

玄米を8時間ほど浸水(できれば水温15度以上。ベストは水温34度6時間)させて「プチ発芽状態」(農業ではハト胸状態)にすると・・・


・「フィチン」は酵素フィターゼによりミネラルを開放し、イノシトールに分解されます。
・「アブシジン酸」は発芽抑制物質なので水酸化により、8′-ヒドロキシABAになり、ファゼイン酸やジヒドロファゼイン酸になります。

これで「毒」も「不安」もなくなります。無害化、無毒化と表現していますが、正確には、害、毒とするならば害や毒を低減する方法となります。

 

四季の移ろいがある日本に育つ旬の食物が、日本で育ってきた私たちをの心と体を整えてくれます。同じものを食べても、同じ薬を飲んでも人によって効果は異なります。さまざまな情報に惑わされずに、自分の体で感じることが一番です。自分にあったよい食生活に見つけて変えることは、習慣を変え、人生を変えることになります。こだわりすぎずに「楽しく・幸せ」に玄米生活を。

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